税理士の仕事と報酬の関係について、考え方をまとめてみました。
一税理士の考え方ですが、税理士以外の仕事についても当てはまるところは有ると思います。
時間あたりの報酬
その仕事を行うのに何時間かかるのか、という考え方です。
顧問料や決算料、確定申告料金など、殆どの報酬で意識されている考え方です。
算式で表せば、時間あたり報酬 × 所要時間 = 報酬
そうすると、時間あたり報酬と所要時間がそれぞれ妥当かどうか、が大事になってきます。
妥当とは、安過ぎず高過ぎず、(時間を)掛けすぎず掛けなさすぎず、の適正料金のことです。
時間あたり報酬
時間あたり報酬が安すぎると、赤字を垂れ流しということになりますし、高過ぎればお客様に要らぬ負担を掛けてしまいます。
時間あたり報酬は、特に事務所の規模やブランド力、などに影響されるのではと考えます。
過去に勤務していた税理士法人では、顧問料を見積もる際に時間あたり15,000円を基本に行っていました。仮に月次資料のチェックや面談時間、相談時間など合わせて5時間/月と見積もるなら、75,000円/月になります。
この税理士法人は、お客様とのやりとりを行う担当者以外にも、担当者を支える人間が沢山います。この人件費などを考慮して、15,000円という設定になっていたのだと思います。
所要時間
時間あたり報酬ばかりに注目されがちですが、仕事にかかる所要時間も大事な要素です。
主なチェックポイントとしては次のものがあります。
・お客様が求めていないことに時間を掛けすぎていないか
・無駄な作業をしていないか
・ITやクラウドサービスを十分に活用した結果なのか
・必要な作業はできているのか
税理士事務所に見積もりをとった際に、所要時間を何時間で見積もったのか、また見積もった理由を尋ねてみると、比較の参考になるでしょう。
リスクについての報酬
リスクに見合う報酬を頂く、という考え方です。
相続税申告や譲渡所得申告など、判断を誤った時の影響額が大きいものに使われる考え方です。顧問料についても、事業の内容や大きさを考慮して織り込むことがあります。
リスクに見合う報酬とは、判断を行うことに対して発生する時間的な負担、精神的な負担などに見合う報酬、と考えています。
先ほどの時間あたりの報酬のように客観的な指標がないので、値決めが難しいです。
昔は税理士会が定めた報酬規定というものがあり、例えば相続税の申告なら財産がいくらなら報酬がいくら、と自動的に計算できたので、特に悩まずに済みました。
この報酬規定は既に廃止されて何十年と経っていますが、未だに報酬規定に準じた報酬計算を行っている税理士事務所は沢山あります。
それだけ見積もるのが難しい要素、ということです。
その他の考え方
その他の考え方としては
・価格競争的な値段設定
・分かりやすさを重視した値段設定
などがあります。
ここでは、価格競争的な値段設定について、少し意見を書きたいと思います。
価格競争的な値段設定
価格競争的な値段設定は、最初は良いですが後が続かない可能性が高いです。
冒頭の算式の「時間あたり報酬 × 所要時間 = 報酬」を今一度思い起こしてください。
報酬を安く設定してしまうと、赤字を防ぐには所要時間で調整するしかないことが分かります。
無駄な時間はかけるべきではないですが、あまりに安い報酬だと、手抜き仕事が発生する可能性が高いです。
筆者の場合は、次の理由で、赤字が見込まれそうなお仕事はお断りさせて頂くようにしています。
・手抜き仕事はしたくない。
・適正料金で契約いただいている他のお客様に申し訳ない
まとめ
報酬の考え方は税理士によって様々ですが、考え方で分からないことや納得いかないことは、素直に税理士にぶつけた方が良いと思います。
まともな税理士なら、その疑問にちゃんと向き合ってくれる筈です。
にほんブログ村
||||||||||||||||||||||||||||||||
【編集後記】
今日は、業務にかける時間をテーマに書き始めたつもりだったのですが、いつの間にか全く違う方向になってしまいました(⌒-⌒; )