平成29年度税制改正大綱 タワマン課税強化は相続税対策に影響なし

平成29年度税制改正大綱にて、タワマン(タワーマンション)課税強化が謳われていますが、私たちの暮らしや税金にどのような影響が考えられるのか、考えてみました。

これまでのタワマン課税の問題点

税金の視点で見た、タワマンを取り巻く諸問題は、主に次の2点が挙げられます。

固定資産税や不動産取得税が、1階と最上階で同じ

タワマンの購入価格は、同じ間取りの場合でも階数が上がるほど価格も上がるのが常識です。筆者も15年ほど前に大阪市内でタワマンを保有していたことがありましたが、20坪ほどの部屋で、1階毎に50万円ほど価格が高くなっていったと記憶しています。

タワマンの売りの一つは眺望です。階数が増える毎に部屋からの見晴らしが良くなります。階数だけでなく、方角も重要です。東京で言えば、富士山や東京タワー、湾岸地域を望める方角は同じ階数でも高くなり、イマイチな景色の方角は安くなります。

ゆえに、階数や方角で購入価格が異なるのは、仕方のないことです。

ところが、固定資産税や不動産取得税はそうではないのです。

同じ間取り、同じ床面積ならば、1階でも50階でも、北向きでも南向きでも、東京タワーが見えようが隣のマンションの壁が見えようが、掛かる税金は全くの同額、1円も違いません。

固定資産税や不動産取得税は、固定資産税評価額に税率を掛けて出しますが、タワマンの固定資産税評価額は、タワマン全体の建築コストを床面積で各部屋に割り振ったものです。階数や方角は一切加味していません。

そのため、購入価格と全く比例しない税額となるわけです。

相続税対策に利用されやすく、金持ち優遇とされている

先程登場した「固定資産税評価額」、購入価格の3割〜6割程度になります。木造は低めで、RCやSRC造は高めです。具体的には次のようなイメージ(固定資産税評価額は推定)です。

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この固定資産税評価額は、固定資産税等の税金の計算に使われるだけでなく、相続税や贈与税の申告にも利用されているのです。

例えば、現金2億円を所有する資産家の方が、何もせずに亡くなった場合は、現金2億円に相続税がかかります。

一方で、現金2億円のうち1億円でタワマンを購入した方だと、現金1億円+タワマン3千万円=1億3千万円に相続税がかかります。

つまり、相続税の計算上は、財産を7千万円圧縮できたことになるわけです。

この仕組みは、タワマンに限った話ではなく、建物全般に共通する仕組みなのです。

タワマンが好んで購入されたのは、購入後にあまり値段が下がらず、むしろ上がる傾向もあった事や、換金が比較的容易である事から、相続税対策として使い勝手が良かったからです。

平成29年度税制改正

前置きが長くなりましたが、平成29年度税制改正では、前述の問題点のうち固定資産税についてのみ改正されています。(税制改正大綱 43〜44頁)

同じ床面積でも、階数によって固定資産税が安くなったり、高くなったりするように変更されます。但し、タワマン全体での総和は変わりませんので、低層階で安くなった分を高層階で引き受ける形になります。また、方角は考慮されていません。

具体的には、1階を100%とすると、20階で約105%、40階で110%、というように、階数が増える毎に負担割合が上がっていきます。

例えば、改正前の固定資産税が一部屋あたり年間20万円の50階建タワマンとすると、改正後は1階で約18万8千円、20階で19万7千円、50階で約21万2千円となります。

思っているほど大した影響はないかも知れません。

なお、負担割合はタワマン所有者の全員の合意があれば、上記の割合によらない割合を採用することもできる、とのことですが、現実的にはどうなんでしょうか…。

改正は平成29年12月末までに表示登記されたタワマンが対象

上記の改正は、大綱によると、平成30年度から新たに課税されることとなるタワマン(ただし、平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く)について適用する、とあります。

固定資産税は、その年1月1日現在で表示登記されているものが対象のため、次の二つの条件を満たす新築タワマンが新ルールの対象です。

・そのタワマンの部屋全てが、平成29年4月1日以降に売買契約されたもの

・平成29年12月末までに建物の表示登記がされたもの

既にタワマンを所有している方はもちろん、そのタワマンの何れかの部屋が平成29年3月31日までに売買契約されているものや、中古タワマンは新ルールの対象外です。

相続税対策には影響しないが…

お読み頂いた通り、今回の改正は相続税対策には一切影響しません。筆者としては、正直なところ拍子抜けしたのが本音です。

とはいえ、税制改正に関係のないところで、タワマンを利用した相続税対策についての税務署の目線がかなり厳しくなっているのが実情です。

現に、相続税対策が税務調査でひっくり返された事例もチラホラ出てきていますので、相続税対策をお考えの方は、相続税対策に詳しい税理士にアドバイスを求めることをお勧めいたします。

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