国税庁のホームページは、よくよく眺めてみると興味深い統計データが載っています。
税務署にも赤字が!?
国税庁が公表している統計データの中には、税金の種類ごとに納付金額や還付金額などの情報があります。
これらの金額は、税金の種類ごと、税務署ごとに集計され、掲載されています。
消費税について統計データを眺めていると、納付金額(税務署にとっては収入)より還付金額(税務署にとっては支出)の方が大きい税務署があることに気づきました。
税務署単位で見れば、収支が赤字の税務署がある、ということです。
そこで、今回は平成27年分の消費税に注目して、記事を書いてみたいと思います。
なお、根拠データはこちらです。国税局ごとにまとめられています。
赤字の税務署は全国に8箇所
あくまで平成27年分の消費税のみのお話ですが、赤字の税務署は全国で8箇所ありました。
(国税庁ホームページ ホーム>活動報告・発表・統計>各国税局の消費税平成27年を基に筆者にて作成)
ぶっちぎりの第一位は、名古屋国税局管内にある豊田税務署です。
なんと、赤字金額が驚きの約2,400億円です。
税収は消費税だけではありませんが、同じ豊田税務署の法人税の収支は約230億円の黒字ですので、いかに巨額なのかが分かります。
第二位は神奈川税務署で、赤字金額は約620億円。
第三位は広島県にある海田(かいた)税務署で、赤字金額は約420億円。
表にも記載しているのでお気づきかもしれませんが、収支が赤字の税務署には、ある共通項があるのです。
赤字の原因は輸出企業の存在
それは、ズバリ「輸出企業(それも自動車製造業)の本店があるから」です。
先ほどの赤字税務署ランキングに「主な輸出企業」を分かる範囲で記載しました。
(4位以下は企業名がピンとこなくて未記載ですが、ご興味のあるかたは是非調べてみてください。)
輸出企業は、消費税の仕組み上、還付金額を得やすい構造になっています。
(詳しい仕組みは、以下の記事に書いています)
そのため、輸出企業の本店を管轄に持つ税務署は、支出(=還付金額)に圧迫されがちです。
さらに、日本の基幹産業といえる自動車製造業は、海外への輸出金額も巨額になります。
したがって、消費税の収支が赤字になってしまう税務署がでてくる、ということです。
ここまで書いて、ホンダ(の管轄の税務署)が何故ランクインしないのかな、と疑問に思いましたが、管轄の税務署は麻布税務署でした。
麻布税務署は、他に消費税をたくさん納税しているであろう企業が集中しているため、ホンダへの還付金額を上回る納付税額があるものと推測されます。
まとめ
国税庁の統計情報より、税務署ごとの消費税収支に注目した記事でした。
改めて眺めて見ると、自動車産業の影響力の大きさがこんなところにも現れているのだと感じます。
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【編集後記】
本日は身内の病院付き添いのため、業務をお休みしました。
気兼ねなく、躊躇なく休みを取れるのは、自営業のいいところです。