事業承継における大きな壁の一つである、税負担の重さ。
最近、各新聞社より、2018年以降の税負担が期間限定で軽減されるかも?とのニュースが出ています。
そこで、事業承継の問題点と現状に触れながら、各新聞社の報道状況をまとめてみました。
本記事は、2017年11月6日現在の新聞報道を基にまとめたものが含まれています。
新聞報道を基にまとめた部分は、予測の範囲であり確定した情報ではないことに注意してお読みください。
目次
事業承継における税負担とは?
事業承継における税負担云々の前に、そもそも事業承継とは何ぞや?という部分を
ハッキリさせておこうと思います。
事業承継 という言葉には、色々な意味がありますが、この記事では
・現経営者が経営している会社の株式を次世代に渡すこと
を「事業承継」と呼ぶことにします。
次世代への渡し方は
・相続
・贈与
・譲渡(売り買い)
の3つの方法が考えられます。
相続や贈与により、株式を後継者へ渡した場合、税金の視点では
・株式(という財産)を、タダで貰った
と見られます。
ここで問題になるのが
・税金の視点では、株式の価値はいくらか?
です。
ちょっと荒っぽい説明になりますが、仮に株式の価値が10億円、相続税率が50%とすると
・相続税は5億円
となります。
株式の価値は、税金の負担に直結します。また、税は後継者が負担することになります。
そんな、上場もしていない株式の価値が10億円なんて、有るわけないだろう?
と思われがちですが、10億円台の評価額になることは、優良な中小企業なら珍しくありません。
それこそ、株式の価値が一けた億円の価値とされる中小企業は、世にたくさん存在します。
上場株式のように、すぐお金に換えられる資産では無いのにもかかわらず。。。
事業承継において、税金の負担がバカにならないどころか、最大の壁の一つであることが実感できると思います。
税負担を軽くする仕組み(現在)
事業承継における税負担を軽くするために、現在は次のルールが設定されています。
・株式総数の3分の2の株式が対象
・株式にかかる相続税(または贈与税)のうち80%(贈与税は全額)の支払いを猶予(=先延ばし)
・従業員の雇用は8割以上維持する
(他にもありますが省略)
現経営者が株式を全部持っているとすると、こんなイメージです。
株式の3分の2部分の納税が先送りされる分、税負担は軽くなっています。
しかし
・株式の3分の1部分は納税は必要
・株式の3分の2部分も20%の納税が必要(相続税のみ)
・一定の条件を守れなくなった場合に、猶予されていた税金を払う必要がある
という足かせがあります。
この仕組みを使って納税を猶予してもらうには、躊躇することが多いのが実態です。
税負担が劇的に軽くなる(かも?)
最近、各新聞紙上で、事業承継に関する税のルールがゆるやかになるのでは、との報道がされています。
もちろん本決まりではありませんが、各報道をまとめると
・ルール変更は2018年から
・ゆるやかにする期間は10年限定
・猶予ではなく免除
・従業員の雇用維持ルールを廃止
・対象株式は3分の2ではなく全部
とのことで、2018年からの10年間は事業承継の大チャンス到来、となるかもしれません。
参考までに、本日(2017年11月6日)までの各新聞社の報道状況です。
(各記事は、無料で閲覧できる範囲のものを引用しています。)
日本経済新聞
(出典:日本経済新聞電子版)
日経記事は、「税優遇を充実する方針」との表現に留まっています。慎重な記事ですね。
読売新聞
(出典:YOMIURI ONLINE)
もっともアグレッシブな記事を掲載しているのが読売新聞です。
しかも、各新聞社中もっとも早い、2017年10月30日付の記事です。
もう内容が決まったかの様に勘違いしそうな、図表まで載せての掲載です。
この通りに改正されたら、もの凄い大盤振る舞いです。
朝日新聞
(出典:朝日新聞DIGITAL)
もっとも控えめな記事を掲載しているのが朝日新聞です。
毎日新聞
毎日新聞のサイトでは、記事を確認できませんでした。
産経新聞
(出典:産経WEST)
産経新聞の記事は、日経新聞と同じぐらいの表現です。
東京新聞
(出典:東京新聞 TOKYO Web)
記事を掲載していない毎日新聞を除けば、最後発の東京新聞の記事です。
読売と、日経・産経との間ぐらいの内容の記事です。
おわりに
事業承継に関する税のルールが改正される予定がある、と知ってしまうと、事業承継を進めることを躊躇してしまいそうです。
(改正後に株式を贈与したほうが、税負担が軽くなる可能性があるため。)
税負担は大事な判断基準ですが、経営権の円滑な承継も大事ではないでしょうか。
円滑な承継は、タイミングも重要です。
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【編集後記】
終日事務所内で、届出作成、書類チェック、自社の経理などを。
迎賓館が近いためか、ヘリの音やら物々しい車両やらで、ざわざわとした雰囲気の四谷界隈でした。