サラリーマンの必要経費を考慮してくれる制度として、特定支出控除という制度があります。
使い勝手の悪い制度なのも手伝って、知名度はかなり低めな制度ですが、あえてこの制度に光を当ててみたいと思います。
目次
法律で決められた必要経費は最高220万円
サラリーマンから見ると、フリーの人は飲食代とかバンバン経費で落としていいよなー、と思っているかも知れませんが、サラリーマンもちゃんと経費を見てくれています。
年収にいきなり税金が掛かるのではなく、経費を引いた残り(図の緑の部分)に税金が掛かる仕組みになっています。
サラリーマンの経費は、2種類あります。
・(1) 給与の金額に応じて法律で決まっている経費
・(2) 実際に支払った経費
(1)の経費は、法律で計算式が決まっています。
年収300万円なら108万円、年収800万円なら200万円といった感じで、年収1千万円超は220万円で固定です。1億円稼いでも220万円です。なんか変だと思いますが、法律で決められているので仕方がないです。
(2)の説明は、次で行います。
特定支出控除・・実際に払ったものが経費になる制度
法律で決まっている経費がある一方、実際に支払った経費も、条件を満たしているなら経費として認めるよ、という制度があります。これを「特定支出控除」と呼んでいます。
支出した全額ではなく、法律で決まっている経費の50%を超える部分を経費として認めてくれます。もちろん法律で決まっている経費も合わせて控除できます。
良さそうな制度なのですが、残念なのが、条件が厳しく使い勝手が悪いことと、厳しい割に大きな節税にならないことです。
例えばこんな感じです。
・年収800万円の人が150万円の支出・・・税率30%(住民税の10%を含みます。以下同じ)とすると15万円の節税
・年収300万円の人が80万円の支出・・・税率15%とすると3万9千円の節税
これを大きいと見るか小さいと見るかは人それぞれですが、特に年収が少なくなるほど報われない感じがします。
条件は次の4つ。全部満たす必要があります。
次の経費であること
通勤費、転居費、単身赴任者の帰宅旅費、研修費、資格取得費、図書費、衣服費、交際費
(但し、図書費・衣服費・交際費は合わせて65万円まで)
通勤費〜帰宅旅費は会社から支給されることが多いと思われるので、事実上は研修費〜交際費が控除を受ける中心になるものと思われます。
通勤費には新幹線定期代が、衣服費にはスーツ代が含まれます。
スーツ代が経費だなんて憧れですが、次の条件を見れば、どれだけ高級なスーツを買わないといけないものかと突っ込みたくなります。
経費の支出合計が、法律で決められている経費の50%を超えること
年収300万円なら54万円、年収800万円なら100万円、年収1千万円超なら110万円を超える経費の支出が必要です。
経費の支出について領収書の保存、確定申告書への添付が必要
手間が掛かります。これが好きな人はいないでしょう。
勤務先から、経費の支出が業務上必要との証明をもらうこと
サラリーマンは、この条件が結構厳しいかもしれないです。
法人で事業を行っている社長なら??
税率の高い高所得者なら高い節税効果が期待出来る
手間の割に大した節税効果がないと書いてきましたが、高所得者なら税率が高い分、節税効果も高いです。
年収3千万円の方が300万円を支出していたなら、税率は50%が見込まれますので、何と95万円の節税効果があります。
因みに年収2千万円前後で同額の支出だと、税率は43%が見込まれますので節税効果は81万7千円です。
と計算するのは簡単ですが、300万の支出となると中々大変です。スーツや飲み食いは65万円で打ち止めですし・・。
それだけ稼ぐような方だと、自己投資も相当なものでしょうから、研修費や資格取得費なので、これぐらいの支出はされているのかもしれませんね。
ということで、高所得者の人は是非この制度にチャレンジしてみては如何でしょうか??
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【編集後記】
夜、近所の公園を時々ジョギングしていますが、ポケモントレーナーを見かけることがめっきり少なくなりました。レアなポケモンが登場することで有名な公園だったのですが。
私としては、トレーナーが減って走りやすくなったので、万々歳です\(^o^)/