上場株式等の売買を特定口座で行っている場合、源泉徴収有りを選択していれば、確定申告の必要はありません。
仮に利益が出ていても、20.315%の税金が源泉徴収されているためです。
では、確定申告を行った方が節税になる場合は、どんな場合か考えられるでしょうか。
過去3年以内に株取引で損失がある場合
株取引で損失が出た場合は、確定申告を行えば将来3年間の株取引の利益と相殺することができます。
この手続きは特定口座内だけでは出来ません。確定申告を行うことで相殺が可能になります。
特定口座を複数所有している場合で、損失が出ている口座がある場合
特定口座での源泉徴収は、その特定口座内の取引のみが対象です。
したがって、特定口座を複数所有しており、損失の出ている口座がある場合には、確定申告することで利益と損失を相殺することができます。
利益のうち相殺できた額に係る源泉徴収税は、還付を受けることができます。
株取引以外に収入がないため、所得控除を受けていない場合
株取引以外の収入が全く無い場合は、所得控除(医療費控除、扶養控除など)を受けていません。
確定申告を行うことで、所得控除を受けることができますので、控除を受けた金額に係る源泉徴収税の還付を受けることができます。
所得控除については、所得控除とは?意味と考え方についてをお読みください。
申告の前に要チェック
何れの理由にしても、確定申告を行う時に気をつけなければいけない大事なポイントがあります。それは
確定申告を行うと、申告をした譲渡益と配当金は所得金額としてカウントされる
ということです。
極端な例ですが、特定口座での株取引以外に所得がない場合を考えてみます。
以下、やや長文ですが、頑張って読んでください。
特定口座を確定申告しない場合は、税法上は所得金額がないと考えるため、他の方の扶養親族や控除対象配偶者になることができます。
特定口座での売買益や配当金がいくら多額であっても、です。
ところが、特定口座を確定申告すると、売買益や配当金は、所得金額としてカウントされます。
この場合、他の特定口座が赤字なので相殺するために確定申告する場合は、相殺後の所得金額が38万円以下なら引き続き扶養親族OKです。
ところが、過去の赤字と相殺する場合は、相殺前の売却益が所得金額となります。
今年の売却益40万円、過去の赤字が30万円の場合、扶養親族になれるか否かの判定は10万円でなく40万円、つまり扶養を外れます。
他にも、所得金額が増えることで影響があるものは、ざっと以下の通りです。
・寡婦控除、寡夫控除(所得金額500万円を超えると適用不可)
・勤労学生控除(所得金額が65万円を超えると適用不可)
・ふるさと納税(所得金額が増えるため、実質2,000円負担で済む金額が増加)
・国民健康保険料(保険料が増える)
・後期高齢者医療保険料(保険料が増える)
・上記保険の窓口負担(1割が3割になるかも)
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【編集後記】
今日は税理士会の無料相談会に参加しました。
風がよく通る地下通路が会場だったため、終わる頃には身体が芯から冷えてしまいました・・。