会社の節税で、お金の支出を伴わないで節税ができる可能性があるものの一つに、減価償却資産の見直しがあります。
特に、新しくお付き合いさせて頂く会社さんの減価償却資産(固定資産台帳)は、必ず全て目を通しています。
資産が実際に存在するのか見直す
意外なことに、実際には既に廃棄済にも関わらず、固定資産台帳上は記載されている、ゾンビのような資産があります。
特にパソコンなどの器具備品に目立ちますが、建物を売却した時に附属設備だけ取り残されているケースなどもあります。
これらのゾンビ資産は、発見次第直ぐに退治しましょう。
耐用年数を見直す
減価償却資産の耐用年数の決定は、ベテランの税理士でも判断に迷うことがあります。
税金に関する判断は数多くありますが、減価償却資産ほど技術的な要素が判断に影響を与えるものはないからだと思われます。
以下、例を挙げて説明いたします。
建物の例
税金の世界では、建物の耐用年数は構造(鉄筋コンクリート、木造など)と用途(住宅用、オフィス用など)の掛け合わせで決まります。
その中でも判断が比較的難しいのが、構造が「金属造」の建物です。
「金属造」????
筆者が税理士業界に身を投じた頃、この金属造が何を指すのか、直ぐには分かりませんでした。いわゆる鉄骨造のことを税金の世界では「金属造」と呼んでいるだけのことなのです。
更に、この金属造は、骨格材の肉厚により耐用年数が3段階に分かれます。用途が住宅用の場合、肉厚4mmを超えると34年、3mmを超え4mm以下だと27年、3mm以下だと19年となっています。
この肉厚を確認しないで一律に34年を適用していると思われる建物が目立ちます。契約書等と一緒に綴じられている使用材リストなどを確認すれば、すぐ分かることなのですが・・。
その他の例
他にも耐用年数を誤りやすい資産は沢山ありますが、誤りを頻繁に見かけるのがエアコンです。
このエアコン、自宅に取り付けるエアコンではなく、いわゆる天カセ式(天井にエアコンが埋め込まれている方式)のエアコンのことを指します。
よく見かけるのが、耐用年数15年(建物附属設備の冷暖房設備)としている例です。
本当に15年でしょうか?
詳細な技術的説明は省略しますが、耐用年数が15年になるポイントは、建物にくっついてるか否かではなく、エアコンの仕組みにあります。
天井に埋め込まれていたとしても、エアコンの仕組みが家庭用と変わらないものであれば、耐用年数6年(種類は器具備品)です。
耐用年数が15年のエアコンのイメージは、オフィスビルや工場などで導入されている、ダクトを通じて冷暖房を行うようなエアコンです。
決して、天井に埋め込まれているから15年、ではありません。
資産の種類が正しいか見直す
先ほどのエアコンのように、種類を勘違いすることは他にも有り得ます。種類を間違えると耐用年数を間違える可能性が高いので、慎重にチェックを行います。
固定資産の購入時も注意
固定資産の購入時に、固定資産台帳に名称や品番、設置場所などを明確に登録しておくと、後に所在不明なゾンビ資産化することを防ぐことができます。
単に「パソコン」と登録するのではなく、例えば「iMac(社長室用)」と登録するなど、明確に登録するようにしましょう。