希望の党の政権公約として、企業への内部留保課税が挙げられています。
この内部留保課税、実は似たような制度が既に存在します。
既にある制度や、その違いについて図を使いながら検討してみました。
溜め込まずに使っちゃえ
内部留保とは、企業が稼いだ利益の蓄積のこと。
利益は
・従業員へ給料をもっと支払う
・株主へ配当を支払う
ことで減ります。
その一方で
・将来のために設備投資を行う
・業績不振時のために現金をとっておく
ために、企業は利益を使わずにとっておくことが普通です。
全部使っちゃったら、企業の成長余地が限られますし。。
この利益の蓄積=内部留保に税金かかるよ?
税金かかるのが嫌なら、利益を溜め込まずにつかっちゃえ!
というのが、内部留保課税の目的です。
似たような制度は既にある
内部留保課税に似た制度、実は既に存在します。
この制度のざっくりイメージを図にしてみました。
例えば、2017年度なら
・緑色と薄い緑色の部分が2017年度の利益
・利益の40%は、使わなくても課税なし
・利益の60%は、使わない場合は最高20%の税金
という意味です。
ポイントは、稼いだ年でのみ税金がかかる仕組みのため
・2017年度の利益を2018年度で使わなかったとしても課税なし
ということです。
対象となる企業は
・資本金が1億円超(上場会社や中堅企業など)でオーナー系企業
・上場子会社や孫会社でオーナー系企業
のため
・オーナー系企業じゃない上場会社や中堅企業
・資本金が1億円以下の中小企業(オーナー系企業含む)
は、利益を100%溜め込んだとしても課税なしです。
※オーナー系企業について
本記事では、トップ株主グループの持ち株割合が50%を超える企業のことを、オーナー系企業としています。
(専門用語で「特定同族会社」と呼ばれているものを「オーナー系企業」と表現しています)
内部留保課税は既にある制度の強化版
内部留保課税は、どのような制度でしょうか。
筆者の推測も入っていると先に言い訳しつつ、これまたざっくりイメージ図にしてみました。
※税率や課税されない割合は、現行制度の数値をそのまま使っています。
先ほどの制度との違い、気づかれますか??
決定的な違いは
・利益を溜め込み続ける限り、いつまでも課税される
ということです。
これ、企業にとってはキツい制度です。
状況によっては企業に利益をプールしておきたい局面もあるはず。
内部留保課税を本当に導入するなら
・課税されない部分(図でいう40%の部分)を引き上げる
など、目に余る利益蓄積にのみ課税する仕組みが良いのかと。
おわりに
税金と政治は切ってもきれない関係です。
その時々で税金のルールが変わるのは仕方ないです。
経済活動への影響は、しっかりと検討して、できれば検討結果をオープンにしてほしいところです。
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【編集後記】
編集後記は、諸事情により暫くの間お休みします。