相続についてのお困りごとの解決方法の一つに、遺言書の作成があります。
それなりの効果があるものなので、お客様へのお勧めがしやすいのは事実です。
お客様も、身内から言われるより第三者から言われた方が良いのか、比較的冷静に聞いて頂ける方が多いと感じています(もちろん、あまり気持ちよく思わない人たちもいます)。
とはいえ、亡くなることを前提としている遺言書ですので、お勧めするときは、お客様やご家族のお考えや性格、顔色、雰囲気を見ながら、かなり気を遣ってお勧めしているつもりです。
業務とはいえ、遺言書の作成を簡単に勧めている(ように見える)専門家が、身内に対して同じように勧めることが出来るのか?
以前から何となく思っていた疑問を解決する機会は、突然やってきたのでした。
財産はほぼ無い
「もしかしたら、自分が相続人になるかもしれない。」
最近、そう思わざるを得ない出来事が起きました。
とは言え、知っている限り、大した財産は無いはずだ、特に何もしなくても大丈夫・・・と思いました。
が、よくよく考えると、それではちょっとマズイかも、と思い直しました。
財産がなくても遺言がないと困る!
どう思い返したかと言いますと。
・いくら財産が無いといっても、多少の預金がある通帳や、不動産の賃貸借契約(借家権)など、財産はゼロではない。
・ゼロではない以上、万が一の際には名義変更などの手続きが必要。
・名義変更には相続人全員の実印が必要・・。
・あ、マズイ。連絡の取れない相続人がいるんだった。。。。
といった具合です。
何で連絡の取れない相続人がいるのかは、非常に興味を持たれるところだと思いますが、そこはサラッとスルーさせて頂くとして。
とにかく、確実に連絡のとれない相続人がいるため、遺産分割協議とか相続人全員の実印とか絶対無理だと気付いたのです。
となれば、遺言書を書いてもらうしかない、もう絶対!と考えるようになりました。
その一言が喉から出ない
さあ、本人(=遺言者)との面談です。
冷静に考えれば、残される自分たちに絶対に必要な遺言書。
でも、本人を目の前にしてそれを口に出すのは、中々ハードルが高いものでした。
お客様には、「遺言書を書いてなんて、元気な時にしか言えませんよ。病院のベッドに寝てる人に遺言書書けなんて、そうそう言えませんからねー。」と冗談ぽく言うこともあるのですが。
いま目の前にしているのは、この冗談のうち、限りなく後者に近い状況の方。
つまり、ただでさえ高いハードルが、更に上がっているのです。
もはや跳躍不可能かと思われるほどに。
とりあえず世間話や昔の話などで場を和ませ、2時間近くたったころ、思い切って言うことにしました。
それも、なぜ必要と考えたのかを丁寧に説明しつつ。
結果としては、OK書くから書き方教えて、ということで、何とか遺言書を書いてもらえることになりました。
ここがポイント?
たった一回の実例で、「スムーズな遺言書作成のお願いはココがポイント!」などと言える筈もないのですが、それでも敢えてポイントと思われることを書いてみると
・いきなり遺言書の話をしない
・普段交流が無い場合は、まず人間関係づくりから
・なぜ遺言書が必要なのか、丁寧に説明する
だったのではないかと。
参考になりましたでしょうか?
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【編集後記】
涼しくなってきたので、ジョギングの距離も少しずつ伸びてきました。今月は6日経過時点で38km。距離が絶対ではありませんが、中々のペースです。