よく聞く言葉だけど正しく理解できていない。税金の世界に限らず、そのような言葉は多いです。
今回は、税金の中でも所得税に関して、比較的よく登場する収入、所得について取り上げます。
目次
1. まずは図でなんとなく理解
上の図は、収入、所得などの言葉の関係を図にしたものです。
「収入」から「経費」を引くと「所得」
「所得」から「所得控除」を引いたもの(=課税される所得)に「税率」を掛けると「税金」が計算できる、ということです。
2. 言葉の意味は、置かれた立場で若干違う
これらの言葉、例えば「収入」を一つ取っても、サラリーマンと自営業者とでは、意味するところが少し違います。
以下、言葉の意味について、置かれた立場を踏まえて、詳しく説明します。
3. 収入とは
(1) サラリーマン、パート、アルバイトの場合
税金や社会保険を差し引く前の給料や賞与のことです。年収は?と聞かれた場合に答える金額のことでもあります。
収入には、基本給は勿論のこと、家族手当などの諸手当を含みます。但し通勤手当は、殆どの場合において含みません。
(2) フリーランスの場合
お客様に商品を売ったり、サービスを利用して貰った見返りとして頂く代金のことです。よく「売上」「収益」「年商」と表現されることが多い金額です。
(3) 年金受給者の場合
年金額振込通知書や、年金額改定通知書に記載されている「年金額」のことです。
因みに、遺族年金については非課税(=税金をかけないこと)とされていますので、どれだけ貰っていても、税金の考え方としては、収入ゼロとして取り扱われます。
4. 経費とは
経費とは、収入をあげるために必要な支出のことを言いますが、立場によっては、実際に掛かった支出ではないものを「経費」と扱うこともあります。
(1) サラリーマン、パート、アルバイトの場合
考え方は2つあり、いずれか有利な方を選ぶことができますが、圧倒的に前者(①)の方を採用していることが多いです。
① 計算式により求める方法
収入に一定の計算式を当てはめて求める方法です。
例えば次のような感じになります。
・収入103万円以下 → 一律65万円
・収入800万円 → 200万円
なお収入が1,200万円以上の場合は、仮に収入が5億円でも、一律230万円です。
(平成28年の場合)
② 実際に掛かった支出を集計する方法
経費の本来の考え方に近い方法です。
サラリーマンとして必要な支出を集計すれば良いのですが、この「必要な支出」が実は決まっていて、何でも良いわけではないのがミソです。詳しくは、別の機会に触れたいと思います。
(2) フリーランスの場合
売上を獲得するために必要な仕入れ、給料、家賃などの費用のことです。
経費に含める、含めないの判断は、それだけでも長文になりますので、別の機会に書きたいと思います。
(3) 年金受給者の場合
年金受給者の場合は、サラリーマンの場合の①と同じく、年金額に一定の計算式を当てはめて求めます。
計算式が65歳以上と65歳未満の2パターンあり、65歳以上の方の方が金額が大きくなります。
例えば次のような感じです。
・年金額が100万円の場合
→ 65歳未満は70万円、65歳以上は100万円
・年金額が150万円の場合
→ 65歳未満は75万円、65歳以上は120万円
年金を得るための経費は、実際には殆ど掛からないと思われますので、上記の取扱いは、年金受給者に対する政策的配慮によるものと考えられます。
5. 所得とは
全ての立場の方共通で、収入から経費を差し引いたものを「所得」と呼んでいます。
この「所得」が38万円以下の場合、他の方の扶養に入ることができます。