成人したある日、親からそっと渡された通帳と印鑑。通帳を開くと、そこには相当な額の預金残高が・・・。通帳名義は勿論、子供です。
そんな親心は、とても有難いことですが、もしかしたら税金の心配をしないといけないかも知れません。
通帳を開くと・・
通帳を開くと、どうやら生まれたころに親が作ってくれたらしい様子。
毎年1月に数万円のお金が入金されています。そっか、あの時に取られたお年玉かも。
4月ごろには、やはり数万円のお金の入金が。タイミングからみて、入学祝かも。
それ以外にも、時々数万円のお金が入金されてるけど、通帳にメモなど書いているわけないし、推測でしかないけど。
そうそう、そういえば昔おじいちゃんから100万円あげるって言われて貰ったお金、お母さんに預けてたつもりだけど、この口座に入ってたんだ。
ん?なんだこれ、200万円とか入ってるんだけど?こんなの知らないしー。
心配しないといけない税金は贈与税
先ほどの通帳には、どうやら500万円ほどの預金残高があったようです。
子供名義の通帳を本人に渡しただけだから、税金の心配なんて必要ないかって?
いやいや、そんなことはありません。
場合によっては、その預金残高から贈与税を支払う必要があるかも知れません。
財産を貰った時に払うのが贈与税。
貰った「時に」払うのが贈与税なんです。
贈与税の対象になるかどうかは、貰った時期と理由次第
では、その500万円は、いつ貰ったものでしょうか?
500万円の内訳は色々あるようでした。
お年玉、入学祝、おじいちゃんからの生前贈与、そして、よく分からないお金。
贈与税は、財産を貰った時にかかるものですが、貰った理由によっては贈与税が非課税の場合もあります。
お年玉や入学祝のような、一般的にやりとりされているお金については、贈与税は非課税となっていますので、これらは税金の心配は無し。
おじいちゃんからの生前贈与は、過去に有効に行われた贈与なら、その時に贈与税がかかりますので、今回は心配無し。
問題は、よく分からない200万円です。
親に事情を聞くと、親にまとまった収入が入ったから、子供であるあなたの口座にも分けておいたとのこと。
この200万円、贈与の時期はいつでしょうか?
子供名義の口座に入金された時は、親には財産をあげる意思があったでしょうが、子供であるあなたは、そもそもその事実を知りません。
贈与は、お互いが「あげますよ」「もらいますよ」の意思表示があって初めて有効になります。
(参考記事)
つまり、この200万円は「もらいますよ」の意思表示が無いので、口座入金時は贈与が成立していません。
では、いつ成立したか?
それは、親から子供へ、通帳と印鑑を渡されたときです。
つまり、通帳残高のうち贈与税の対象になるのは、200万円、ということになります。
贈与税が心配な場合の対処法
贈与税が心配になるほどの通帳をもらえそうな時の対処方法は、次の通りです。
・年間110万円まで非課税なので、非課税の範囲内で数年に分けて貰う。
・結婚子育て資金の一括贈与制度を利用する
→1,000万円まで非課税。利用には一定の手続きが必要です。
・結婚式の費用を親に負担してもらう(その通帳で払ってもらう)
→常識的な範囲の結婚式費用を負担してもらった場合は、贈与税が非課税になります。
一括贈与制度は、将来の結婚子育てに備えてまとまったお金を渡す時に使う制度ですので、似ていますが異なります。
・教育資金の一括贈与制度を利用する
→お金の受け手は子供でなく孫になりますが、1,500万円まで非課税。利用には一定の手続きが必要です。
なお、教育費も常識的な金額を必要な都度負担して貰う分には、贈与税が非課税です。
まとめ
今回は、親から貰った(貰える予定のある)通帳について、次の内容を説明いたしました。
・親からまとまった額の通帳を貰った時の取り扱いについては、贈与税の対象になるものとならないものがある。
・贈与税を避けるには、通帳を貰うではなく、通帳のお金を少しづつ貰う、必要な時に負担してもらうなどする。
折角の親心ですから、税金の負担はなるべく避けたいところですね。
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【編集後記】
仕事の報酬は人それぞれあると思いますが、感謝の言葉をいただけることが一番だと感じた一日でした。
(あ、お金も大事です 笑)