ある日突然、郵送物が届いて
「遺産分割協議書に実印を押せ」
「印鑑証明書をつけて送り返せ」
と言われたら、どうすれば良いでしょうか?
目次
郵送物が届いた理由
遺産分割協議書が届いた理由は、一体何ででしょうか?
それは、あなたが相続人だからです。
故人の財産を相続するためには、次のどちらかが必ず必要です。
・故人の遺言書
・相続人全員による遺産分割協議書
遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印の捺印が必要です。
遺産分割協議書が郵送で届き、実印の捺印を依頼された場合は、恐らく、あなたと故人が何らかの理由で縁遠い存在になっていると思われます。
次の家系図をご覧ください。
仮に、故人とあなたが生き別れた場合、故人の遺産相続について主導するのは、今現在の配偶者とその子です。
このような場合に、今現在の配偶者又はその子から、故人の財産を相続するために必要な遺産分割協議書を完成させるために、あなたに連絡が来る、ということです。
郵送でなくても実印を押せと言われる場合
郵送でなくても、「遺産分割協議書に実印を押せ」を言われる場合があります。
次の家系図をご覧ください。
一族の財産や家業の後継者が決まっている場合(上図では子(後継者))は、後継者か配偶者などの所謂本家筋から、「一族の財産や家業は後継者が守るから、あなたは印鑑を押してくれたら良い」と言われることがあります。
実印を押す意味
遺産分割協議書に実印を押す意味は、遺産分割協議書に書かれている財産分けについて了承しましたよ、ということです。
そして、印鑑証明書が添えられた遺産分割協議書は、故人の財産の名義変更が可能になるほど強力な文書となります。
実印を押す前に確認したいこと
本家筋から言われたから、面倒だからと、遺産分割協議書に実印を押す前に確認したいことがあります。
遺産分割協議書の記載内容を確認する
実印を捺印するからには当たり前かも知れませんが、まずは遺産分割協議書に記載されている内容を確認します。
書かれている内容が納得できれば良いですが、不明な事項がある場合は遺産分割協議書を示してきた相手方に質問した方が良いでしょう。
財産内容に納得がいかない場合の対処方法
遺産分割協議書に記載されている財産の内容に納得がいかないことがあります。
・あの財産が記載されていないけど、どこに行ったのだろう
・財産が妙に少ない気がする
このような場合は、遺産分割協議書を示してきた相手方に質問します。
回答が有れば良いのですが、相手方相続人には故人の財産について回答する義務はありません。
回答が得られない場合はどうすれば良いか?
それは、ご自身で故人の財産調査を行うしかありません。
手間と費用が掛かりますが、納得するために必要なら行った方が良いと思います。
財産の調査方法ですが、預金については次の方法があります。
不動産については、不動産を所有していそうな市区町村に、名寄せの請求を行います。
名寄せとは、故人が市区町村に所有している不動産の全てについて、一覧表にしたものです。
請求方法については、各市区町村のホームページを検索して確認します。
その他、証券会社や生命保険会社などへも、相続人であることを証明できれば故人の契約内容について確認ができます。
財産調査には、あなたと故人との関係を明らかにする(相続人であることを証明できる)戸籍謄本が必要です。
この場合に必要な戸籍は次の2点です。それぞれ1通を準備すれば大丈夫です。
・故人が亡くなったことが記載されている戸籍
・あなたの戸籍(故人との続柄が明らかになるもの)
おわりに
遺産分割協議書は、故人の財産分けに関する重要な書類です。
納得がいかない場合は実印を押さずに、できる限り調べを尽くした方が良いと思います。
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【編集後記】
この記事を書いている時に、NHKのクロ現+で遺贈(いぞう)の特集が放映されていました。
放映内容の内容からすると、遺贈は一般的な用語ではないのだなぁ、と思いました。