売主が海外居住者の不動産購入 注意しないと多額の税金を負担することに

海外居住者が国内の不動産を積極的に購入するようになって早数年。最近は一部で売却の動きも出ているようです。

そうなると、マンションなど不動産を購入する際、売主が海外居住者の場合も珍しくありません。

この場合、絶対に気をつけておくべきポイントが一つあります。

海外居住者とは?

正確には「非居住者等」と言いますが、次のいずれかの条件に該当する方を指します。

・日本国内に住所(=生活の本拠)がある個人

・日本国内に住所はないが、継続して1年以上住んでいる個人

・外国法人

非居住者等とは、一般的には外国人(=日本国籍でない方)ですが、日本人でも海外に住所がある方は非居住者等になりますし、外国人でも日本に住所がある場合には非居住者等になりません。

絶対に気をつけるべきポイントとは?

非居住者等との売買で絶対に気をつけるべきポイントとは、非居住者等が売主の場合、代金を100%支払うのではなく、10.21%を控除した金額を支払う必要があることです。

売買代金が1億円なら、1,021万円を控除した8,979万円を売主に支払います。決して1億円を支払ってはなりません。

差引いた1,021万円は、税務署へ支払います。

何でそんなことをしないといけないの?と思われる方が殆どだと思いますが、この1,021万円は、非居住者等が日本国に対して支払わないといけない税金なのです。

ならば、非居住者等自身が納税を行えば良いのですが、海外に住所のある方が納税を行うのは不便ですし、何より国の立場からすると、取りっぱぐれる可能性は出来るだけ避けたいものです。

そのため、買主に税金の取立てを代行させる義務を負わせることとしました。具体的には、非居住者等が負担すべき1,021万円の税金は、売買代金から差し引くことで買主が預かり、買主が税務署へ支払います。

このことを、専門用語ですが「源泉徴収」といいます。

よくよく考えたら酷い制度ですが、法律で決まっている以上、従うほかありません。

気をつけなくて良い場合(例外)

源泉徴収の取り扱いは、例外があります。

個人による購入で、ご自身またはご親族の自宅用としての購入、かつ売買代金が1億円以下の場合は、源泉徴収をする必要はありません。

ただし、売買代金には固定資産税の精算金も含まれます。

不動産そのものの売買代金が1億円ジャストでも、固定資産税の精算金を別途支払った場合は、売買代金が1億円を超えることになりますので、源泉徴収を行う必要があります。

固定資産税の精算金は、見落としがちなポイントのため、注意が必要です。

うっかり忘れた場合は恐ろしい結末が

非居住者等へ売買代金を全額支払ってしまった場合はどうなるでしょうか?

全額支払っても、買主の源泉徴収の義務は消えません。

税務署は、売主たる非居住者等ではなく、買主に税金を支払え、と迫ります。売主に全額支払ったよ、と主張しても法律上通りませんので、泣く泣く納税することになります。1億円の物件なら、1,021万円の余分な支出が発生することになります。

この場合、後で売主から税金を回収できれば良いのですが、現実的には難しいです。

売主の住所に気をつける

上記のような悲劇を防ぐためには、売主の住所に神経質になるしかありません。

契約を進めていく中で、売主の住所が外国であることに気づいたら、仲介会社に源泉徴収の話をして、源泉徴収を確実に行えるように手配しましょう。

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