年末調整をネットで完結するための課題 いっそ年末調整を廃止することを考えても

年末調整がネットで完結へ、というニュースが、日経新聞だけでなくYahoo!ニュースでも報道されています。

そうなったら便利かも、と思う反面、記事を読みながら考えたことがありますので、まとめてみました。

年末調整の流れ

現在の年末調整の流れは次の通りです。

基本的に全て紙ベース、税務署への報告は紙かネットです。

これを、次の通り変更しようと計画されています。

2017年8月14日付の日経新聞朝刊にによると

企業も電子データをもとにネット上で確認し、税務署にもネットで申請する。

「税務署にもネットで申請」という意味が不明確ですが、年末調整は「会社が従業員に代わって所得税の計算を行う手続き」ですので、年末調整の結果をネットで報告する、という意味と思われます。

ネットを使えない従業員をどうするか

まず気になったことが、ネットを使えない従業員がいる場合の対応が難しいと思われることです。

年末調整をネットで完結するということは、全てネット上で処理できないと非効率になります。

一部の従業員がネットを使えない、又はネットは使えてもマイナンバーカードは持っていないとネット完結できない場合は

・これまで通り紙で提出してもらう

・控除を諦めてもらう(控除を認めない)

方法が考えられます。

ネット完結できない従業員は、これまで通り紙提出を認めたとすると、年末調整を行う会社側はどうなるでしょうか。

年末調整の資料については

・ネットで提出した人は、自動的にデータが連動される。

・紙で提出した人は、会社がデータを入力する。

ということになりそうです。

そうすると、会社側の負担は残る可能性がありますし、場合によってはネット提出の人と紙提出の人とを管理する必要があるかもしれません。

会社側の負担を減らし、マイナンバーカードを普及させるために、生命保険料控除や住宅ローン控除はネット提出のみ認めるようにルール変更することも考えられますが、後述する通り簡単ではなさそうです。

従業員にとってネットを使うメリットなし

もう一つの問題点が、従業員にとっては、紙でもネットでも、どっちでも良いということです。

従業員の立場としては、会社が年末調整を行なってくれればそれで良いので、ネット化しても従来通り紙提出を続けることになるのではないでしょうか。

前述したような、ネット以外は控除を認めないぞ!と法律を変えれば話は別ですが

・法律を変えようとすると、従業員をはじめ、生命保険業界や住宅業界から反発が予想される。

・法律が変わらないなら、紙提出でいいや、となり、折角のネット化が機能しない。

となりそうで、ネット化の普及は運用上の工夫が必要に思えます。

ネット化を普及するために、前述の強制力(←ネットじゃないと控除を認めない)や、インセンティブ(←例えば、ネットなら控除額を増やすよ)などを考慮する必要がありそうです。

インセンティブについては、確定申告において過去に実績があります。電子申告を行なった場合に所得税を5,000円減免するというものです。

給与所得者を4,800万人(注1)として、仮に5千円のインセンティブをつけると、2,400億円もの財源を確保する必要がありますので、果たして財務省がウンというかどうか。。

(注1)国税庁ホームページ ホーム>活動報告・発表・統計>統計情報>標本調査結果>民間給与実態統計調査結果(平成27年度)では、給与所得者は4,794万人とされています。

いっそ年末調整を廃止しては?

年末調整をネットで完結するシステムを組むぐらいなら、いっそのこと年末調整を廃止して、全ての従業員は自分で確定申告を行なうことが出来るシステムを組んでしまった方が、メリットが大きいと思います。

メリットは

・会社の時間と人件費をカットできる

・サラリーマンの間で税金への関心が高まる

デメリットは

・従業員自身で確定申告を行う手間

・確定申告を受け取る税務署の手間

ざっとこんなところでしょうか。

所得税は、自ら申告して納税するのが原則というか建前なのですが、サラリーマンの給料については、年末調整という形で会社が代行してます。

しかし、昔はともかく、現代は色々なことがITを活用して省力化、自動化できているので、年末調整を廃止できる環境は整っていると思います。

年末調整のネット化は、マイナポータルを活用することが目的のようですので、例えば

・マイナポータルに個人の給与情報や控除のための情報が集まる

・国税庁の確定申告コーナーへ自動的に連係

・従業員は、確定申告コーナーを開き、自動でされた計算結果を承認

・確定申告終了

といった流れを作ってしまえば、従業員も税務署も、それほど手間は増えないのではないでしょうか。

システム開発のコストはもちろん掛かりますが、会社、従業員、税務署の時間的コストが未来に渡ってカットされ、さらに税金への意識が高まることが期待できるなら、これほど良いことはないと思うのですが。

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【編集後記】

自分自身が働いているためお盆休みの感覚が無く、何も考えずに立ち寄ったケーキ屋さんがお盆休みで休業していて軽くショックを受けました(^_^;)

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