保険会社から、医療保険を法人で契約することを勧められる場合があります。
保険料が経費になるから、という理由だけなら、法人契約はオススメできません。
目次
法人契約がオススメできない理由
医療保険を法人で契約すると、保険料は原則として法人の経費になります。
経費になるのは良いのですが、問題は別のところにあります。
それは、入院するなどして給付金を受け取った場合です。
給付金を100%非課税で役員や従業員へ渡すのが、とても難しいのです。
給付金は法人の収入
当たり前なようで見落としがちなところですが、法人で契約した医療保険は、被保険者が役員や従業員、保険金受取人は法人としていることが殆どでしょう。
(保険金受取人を役員や従業員にした場合は、支払保険料はその役員や従業員に対する給料を支払ったものとして取り扱います。)
そうすると、入院保険金は当然ですが法人の口座に入金されます。
給付金は法人の収入、法人のものです。
ここが大事なポイントで、役員や従業員が貰う権利はないのです。
何回も書きますが、給付金は法人のものです。
給付金を役員や従業員へ非課税で渡すためのルール
役員や従業員が入院などした場合は、法人からお見舞金などの形で支払うのが福利厚生として一般的です。
このお見舞金を法人の経費にして、受け取る役員や従業員には税金が掛からないようにするためには、次のルールを全て満たすことが必要です。
・慶弔規程の整備
・慶弔規程に基づいた支払を行う
・慶弔規程に定める金額は世間相場並みにする
給付金を全て役員や従業員へ渡すとどうなるか?
ところが、法人で医療保険に加入している場合に、給付金の権利は役員や従業員にあるとばかりに、そっくりそのまま役員や従業員へ渡してしまうことがあります。
この場合、税金の取り扱いはどうなるでしょうか?
税金の取り扱い上、次の2つはイコールではなく、分けて考える必要があります。
・法人が貰う給付金
・役員や従業員がお見舞金を非課税で貰うためのルール
入院給付金100万円が、必ずしも非課税で貰えるお見舞金にはならないのです。
先ほども書いた通り、非課税で貰えるお見舞金は、世間相場並みである必要があります。
入院のお見舞金が100万円というのは、入院期間にもよるでしょうが、企業の福利厚生としては手厚すぎるのではないでしょうか。
仮に、非課税として認められるお見舞金が10万円だったとした場合、それを超える金額は給与扱いとなります。
個人契約か、法人契約&保険金受取人を役員等にする
これまで見てきた通り、法人が給付金を受け取る契約の場合は、思うように役員や従業員へ渡すことができません。
これを回避するには、個人契約にするか、法人契約で保険金受取人を役員または従業員にすることです。
個人契約にすると節税効果は殆どありませんが、給付金が給与扱いされるよりはマシだと思います。
法人契約の場合は、毎回の保険料支払いが給与扱いになりますが、会社としては経費であることに変わりないですし、役員や従業員側としても、保険料に見合う税金の負担で医療保険に加入できると考えれば、給付金が給与扱いされるよりはマシだと思います。
法人契約が良い場合
医療保険やがん保険を法人で契約しても良い場合は、給付金が目的ではなく、節税のための手段として保険を使う場合です。
節税のための保険は、税金の負担を将来に先送りするものが殆どですが、そのような目的で保険に加入するなら、法人契約で問題はないでしょう。
ただし、この場合でも、入院などにより給付金をもらった場合は、これまで書いたことと同様の取り扱いになります。
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【編集後記】
東京駅をウロウロしていたら、やたらに人が多く一人不思議がっていたら、本日は三連休の初日だったのですね。
勤め人でなくなると、連休に対する感覚が少し薄れるような気がします。