年末調整のときに会社に提出する、扶養控除等申告書や保険料控除申告書の書類。
これらの書類、左上をよく見ると…。
税務署長やら市区町村長やらの欄があります。
あれ?この書類は会社に提出するんじゃなくて、税務署に出すの??
結論:会社に提出
先に結論を言います。
「会社に提出」で合ってます。
以上。
・・・
さすがに、これで終わってしまうと本記事が成り立たなくなりますので、もう少し頑張ります。
法律上は回りくどい言い方
さきほどの結論は、いったん脇に置くとして。
法律では、どんな書き方がされているか確認してみましょう。
法律を読んでみると、実に周りくどい言い方で書いてあります。
まず一つめ。
(黄色マーカー部分のみ、ご注目ください!)
国内において給与等の支払を受ける居住者は、その給与等の支払者から毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日までに、次に掲げる事項を記載した申告書を、当該給与等の支払者を経由して、その給与等に係る所得税の第十七条の規定による納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
(所得税法第194条 給与所得者の扶養控除等申告書)
※保険料控除申告書なども、同じような条文があります。
さっき「会社で提出で合ってます」って言ったやん、とのツッコミが聞こえてくるようです(^^;
そうなんです。法律では
申告書は税務署に提出してね
といっています。
で、ここからが回りくどいところです。
もう一つ、法律を引っ張ってきます。
(同じく、黄色マーカー部分のみご注目ください!)
第百九十四条から第百九十六条までの場合において、これらの規定による申告書がその提出の際に経由すべき給与等の支払者に受理されたときは、その申告書は、その受理された日にこれらの規定に規定する税務署長に提出されたものとみなす。
(所得税法第198条 給与所得者の源泉徴収に関する申告書の提出時期等の特例)
「給与等の支払者」は、会社、勤務先と思ってください。
法律は
申告書を勤務先に出せば、税務署に出したのと同じ扱いだよ
といっています。
このように、回りくどい法律によって
申告書=会社に提出でOK
の図式が成り立つわけです。
税務署に提出することが大原則だからこそ
申告書の左上に税務署名を書く欄が用意されている
ということです。
回りくどい理由
なんでこんな回りくどい法律になっているのでしょうか?
それは
「本来は国(税務署)がやるべきことを、会社に丸投げ委任している」
からです。
給料の税金計算や納税を、税務署が直接処理するのと、会社が代わりに処理するのとでは、どう違うのか表にしてみました。
こんなとき | 税務署が直接処理 | 会社が代わりに処理 |
税金の計算 | 確定申告 | 年末調整 |
納税 | 本人が納税 | 会社が責任をもって給与天引き |
滞納したら | 税務署が頑張って回収 | 天引きするので危険度小 |
会社が行なっている処理は
・年末調整(従業員一人一人の年税額を計算する手続き)
・納税
です。
仮に、これらの処理を法律の原則通りに税務署が行なった場合、税務署に相当の負荷がかかります。
おまけに滞納の場合は税金の回収ができない可能性もあります。
これらの悩みも、全て会社に任せてしまえば全て解決!
という仕組みがあるので
申告書の提出先は、原則(建前?)税務署、事実上は会社
ということになっています。
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【編集後記】
普段は夜に行なっているジョギングを、早朝にしてみました。
夜では分からなかった紅葉の美しさに感動すると共に、いつのまにか季節が進んでいたことに気づきました。
時が経つのは早いです。