地主さんの相続税と贈与税に影響が大きい広大地の評価方法が変更されます。
どう変わるのか要点だけ押さえたうえで、2017年のうち(できれば11月中旬まで)に検討したほうが良いことを述べたいと思います。
目次
広大地評価とは?
広大地とは
・地積が500平方メートル(※)以上
・開発行為を行ったとしたら、敷地内に道路の開設が必要
・マンション用地に適していない
などの要件を満たす土地です。
(※)三大都市圏の場合。その他の地域は1000平方メートルなど、基準が違います。
広大地に該当した場合、評価額が最大で65%引きになります。
1億円の土地なら、広大地に該当すれば最大3,500万円まで評価額が下がるので、相続税対策を考えるなら絶対に見逃せないポイントです。
広大地の評価方法の変更とは?
広大地の評価方法の変更とは
・広大地に該当するかどうかの判定
・評価方法
について変更になることをいいます。
※呼び名そのものも変わります・・「広大地」→「地積規模の大きな宅地」
本記事では、わかりやすさ重視で、変更後も「広大地」としています。
広大地に該当するかどうかの判定については
(これまで)不動産鑑定士など不動産のプロによる検討が必須
(変更後)形式的に判定できる
評価方法については
(これまで)地形(じがた)に関係なく一律の評価
(変更後)地形がよい場合は評価が下がらず、地形がよくない場合は評価が下がる
となります。
まとめると
広大地評価できるかどうかの判断が簡単になるけど、評価が思うように下がらないかもしれない
ということです。
このような土地(地形のよい土地)は、評価方法の変更により評価額が上がります。
逆に、このような土地(地形のよくない土地)は、評価方法の変更により評価額が下がる可能性があります。
評価方法の変更については、詳しくはこちらをお読みください
変更はいつから?
広大地の評価方法は
・2018年1月1日以降に相続が開始した(起きた)
または
・2018年1月1日以降に贈与した
ものから変更されます。
地主さんが検討したいこと
①現状の財産総額と相続税の見込み額を確認する
相続税対策のためには、現状把握として
・財産の一覧(細かい財産は取り敢えず無視してもOK)
・相続税の見込み額
を確認することをお勧めします。
この2つが分かっていないと
・相続税対策をすべきか
・広大地評価を使うべきかどうか
・どの財産をどの相続人に相続させるか
全くわかりません。
まずは、大まかに財産の全容を掴まれることをお勧めします。
相続税については、ご自身で計算されるか、税理士に依頼すると良いと思います。
国税庁のホームページにも、計算できるコーナーがあります。
(ちょっと難しい感じです)
②広大地について変更前と変更後の評価額を比較する
広大地について、変更前と変更後の評価額を比較します。
大雑把には、地形がよければ変更前が有利、地形がよくなければ変更後の方が有利です。
③広大地について2017年内の生前贈与を検討する
変更後の評価額が高くなる広大地については、2017年12月31日までに贈与を行えば、変更前の評価額が使えます。
(将来、相続税申告が必要になった場合も、生前贈与した土地については変更前の評価額で申告できます。)
ただし、税の軽減は大事ですが
・相続人間の財産のバランス
・贈与しない方が安心な土地(例えば自宅の土地)
についても意識されることをお勧めします。
④生前贈与について贈与税の申告方法を検討する
生前贈与を行うことに前向きになられたら、贈与税の申告方法を検討します。
一般的には、次のような考え方で選択します。
贈与税の負担を抑えるなら
・・・相続時精算課税による贈与税申告
贈与した土地を、将来の相続税申告に影響させたくないなら
・・・通常の贈与税申告
ただし、財産の状況などで、どちらの方法がベストなのか結論が変わりますし、本記事でも残念ながら書ききれません。
地形のよい500平方メートル以上の土地を三大都市圏にお持ちの方は、なるべく早く税理士に相談されるのがお勧めです。
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【編集後記】
本日は久しぶりに研修の講師をさせて頂きました。
内容は同業者向けです。思い返してみると、同業者向けの研修講師は初めてでした。通常の研修とは違った緊張感があります。