戸籍は動かした方がいいものでしょうか?
それとも動かさない方が良いのでしょうか?
戸籍は人生の管理記録簿
戸籍は、人生の管理記録簿のようなものです。
・生まれたこと
・結婚したこと
・離婚したこと
・養子になったこと
・亡くなったこと
・親族関係(父、母、兄弟など)
について記録されています。
ただし、人生の記録簿といっても
・学歴
・職歴
・賞罰
・住所
などは記録されていません。
戸籍は通常一人一冊ではなく、一組の夫婦+その子がまとめて記載されています。
戸籍を探し出す時のキーワードは2つあり
・本籍地
・筆頭者
です。
本籍地は、戸籍が管理されている場所、という意味で、住所(←人の住んでいる場所)のような書き方がされていますが、住所という意味ではありません。また、本籍地と住所と揃える必要は一切ありません。
筆頭者は、通常は世帯主=筆頭者となっていることが多いですが、これも絶対ではありません。
戸籍を動かした場合のメリット
よく「戸籍を動かす」と言いますが、正確には
戸籍を動かす=本籍地を変更する
ということです。
戸籍を管理しているのは、本籍地の市町村役場ですので、戸籍を取り寄せたい時は、お住まいの市区町村役場ではなく、本籍地の市区町村役場へ申請する必要があります。
そのため、住所は東京都武蔵野市だけど本籍地が沖縄県那覇市ですよ、といった場合は、沖縄県那覇市に戸籍の取得手続きを行う必要があります。
仮に本籍地=住所であれば、役場は近くですから手続きも簡単、時間もかからないですが、本籍地が遠い場合は、郵送で手続きを行う必要がありますので、手間や費用が余計に掛かります。
そういう意味で、本籍地を動かす、特に住所と本籍地を揃えておくと、戸籍の入手が比較的楽です。
ただし、最近はマイナンバーカードを使用することで、本籍地が遠い場合でも簡単に戸籍を入手できる場合があります。現在、対応できる市区町村は限られていますが、近い将来は全国対応になるのではないでしょうか。
そうすると、戸籍を楽に入手するために本籍地を動かす必要は無くなります。
戸籍を動かした場合のデメリット
戸籍を動かした場合、何かデメリットがあるのでしょうか?
その答えは、相続人が大変になる、ということです。
何が大変なのでしょうか?
人が亡くなり、相続手続きが開始されると、不動産の名義変更や預金の解約手続きを行う必要があります。
これらの手続きには、亡くなった方の戸籍謄本が必要になりますが、このとき「生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍を揃えてください」と言われるはずです。
全ての戸籍とはどういう意味か?
生まれた時は、両親のいずれかが筆頭者の戸籍に記録されます。
結婚すると、一つの戸籍に複数の夫婦は記録できないので、新しい戸籍が作成され、そこに移動します。
戸籍を動かせば(本籍地を変更すれば)、新しい本籍地で新しい戸籍が作成され、そこに移動します。
・・・といった具合に、人が生まれてから亡くなるまで、複数の戸籍に記載されることが殆どです。
また、移動の際には
・移動前の戸籍には移動先の戸籍情報(本籍地、筆頭者)
・移動先の戸籍には移動前の戸籍情報(本籍地、筆頭者)
が記録されていますので、各戸籍が繋がるようになっています。
全ての戸籍を揃えるとは
生まれた時に記載された戸籍から、亡くなった時に記載された戸籍までが繋がるように、全ての戸籍を揃える
ということです。
戸籍を動かすと揃える戸籍が増える
もうお判りかもしれませんが、戸籍を動かすと、相続人が集めなければならない戸籍の数がその分増えてしまうのです。
人によっては、転居のたびに戸籍を動かしていることもあります。
そうすると、仮に人生において10回引っ越せば(その都度戸籍も動かせば)、最低でも戸籍を10冊揃える必要がある、ということです。
戸籍が同じ市区町村役場であれば比較的楽かもしれませんが、その10回が全て別々の市区町村だと、戸籍を取り寄せるだけで疲れてしまいそうです。
おわりに
戸籍は普段殆ど意識することがないので、メリットもデメリットもピンとこないかも知れません。
普段殆ど意識することがない、ということは、メリットはあまり考える必要がない、つまり戸籍はなるべく動かさないのがお勧めです。
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【編集後記】
筆者は勿論、戸籍を自ら動かしてはいませんよ!