扶養している配偶者やご両親の介護保険料は、扶養している人の社会保険料控除とすることができるでしょうか。
社会保険料控除の条件
社会保険料控除は、自分や同一生計の親族分の社会保険料を、自分の所得から引くことができる制度です。
社会保険料は次のものです。
・国民健康保険料(又は国民健康保険税)
・国民年金保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険料
・介護保険料
・後期高齢者医療保険料 など
ただし、自分の所得から引くためには、自分が払ったものじゃないとダメです。
介護保険料が年金天引きの場合は絶対に社会保険料控除できない
同一生計の配偶者やご両親の介護保険料は、常識的にいえば自分自身の社会保険料控除としたいところです。
ところが、年金受給額が年間18万円以上の方の介護保険料は、年金天引きです。
年金天引きということは、介護保険料を支払っているのは年金受給者である配偶者やご両親のため、自分自身の社会保険料控除とすることができません。
更に残念なことに、この年金天引きは強制です。口座振替への変更はできません。
口座振替に切り替えて自分で支払えば社会保険料控除ができるのに、それすら出来ないのです。
税制改正の予定だったのにいつの間にか消滅
配偶者控除や扶養控除の対象になるような配偶者やご両親です。
ご本人には税金がかからないのですから、年金天引きの介護保険料が社会保険料控除として活用できる機会がありません。
これについては、社会保険料控除として活用できるよう税制改正される予定がありました。
参考:産経新聞2016年1月19日付 介護保険料の控除見直し 配偶者らに移転、税負担軽く
記事によれば、2017年度税制改正で実現される予定でした。
この記事を書くにあたり、確か税制改正により活用できるようになるのではと思い調べてみたところ、改正法案への記載はありませんでした。
それどころか、税制改正の議論にすらのっていませんでした。
(税制調査会の議事録に全て目を通しましたが、一言も記載がありません。)
なんとも残念な話です。
後期高齢者医療保険料は工夫すれば社会保険料控除できる
後期高齢者医療保険料は、介護保険料と共に年金天引きされていることが多いものです。
年金天引きされている限り、後期高齢者医療保険料を自分自身の社会保険料控除とすることができません。
ただし、介護保険料と違い、後期高齢者医療保険料の支払方法を口座振替へ変更することができます。
したがって、後期高齢者医療保険料に限り、工夫すれば自分自身の社会保険料控除とすることができます。