相続財産ではないけど相続税の対象になる財産は、実に様々なものがあります。
また、相続財産でも相続税の対象でもない財産も存在します。
これらの財産について、一覧表にまとめてみました。
一覧表はこちら
財産ごとに、相続財産か、相続税の対象か、次の表にまとめてみました。
財産 | 相続財産
(遺産分割の対象)か |
相続税の対象か |
未支給年金 | × | × |
埋葬料(健康保険) | × | × |
香典 | × | × |
お墓、仏壇など | △ | × |
共済金(小規模企業共済) | × | △ |
死亡保険金 | × | △ |
弔意金 | × | △ |
死亡退職金 | × | △ |
支給日前の給料、賞与 | ○ | ○ |
保険契約(契約者≠保険料負担者=故人) | × | ○ |
保険契約(契約者=保険料負担者=故人) | ○ | ○ |
還付金(各種税金) | ○ | ○ |
還付金(健康保険料、介護保険料) | ○ | ○ |
還付金(高額療養費) | ○ | ○ |
家財道具(家具、家電製品など) | ○ | ○ |
○が対象、×が対象外です。
△のものが一部ありますが、後ほど説明いたします。
相続財産(遺産分割協議の対象)=故人に権利がある財産
相続財産は、一言でいえば「故人に権利がある財産」です。
故人に権利がある財産とは、故人が生きていれば当然故人が受け取るべき、または所有すべき財産のことです。
未支給年金や埋葬料は、故人ではなく、相続人が受け取るべきものと決まっていますので、相続財産ではない、ということになります。
保険については、次の記事で詳しく解説しています。よろしければお読み頂けると理解が深まります。
微妙なのが、お墓や仏壇など、祭祀財産(さいしざいさん)と言われるものの取扱いです。
祭祀財産は、相続財産とは切り離して取り扱うこととされています。
それでも先ほどの表で△にしたのは、次の理由があるためです。
・原則は、祭祀財産を承継する者の決定方法がある(次の※参考)
・ただし、相続人間の協議で決めてもOK
実務上も、遺産分割協議書に祭祀財産について明記しているものを見かけます。
書類に明記しておくことで、承継者が明確になるためです。
※参考 祭祀財産を承継する者の決定方法
一番に優先されるのは、故人の意思です。意思といっても、遺言書に書く必要はなく、口頭で「おまえに頼むぞ」といわれれば、言われた方が祭祀財産の承継者です。
次に優先されるのは、慣習です。
一般的には長子、配偶者です。昔ながらの長子相続が生きている地域では慣習で決まりますが、現代、特に都市部では長子相続の考え方が薄れてきているので、慣習で決めるのは難しいかもしれません。
これまでの方法で決まらない場合は、家庭裁判所の審判によります。
相続税の対象=相続財産+α
相続税の対象となる財産は、次の2つです。
・先ほどの相続財産
・相続財産ではないけど、事実上相続財産と同じような性質の財産
死亡保険金、弔意金、死亡退職金などは、相続財産ではありませんので、遺産分割協議で相続する人を決めることはできません。
これらの財産は、死亡保険金なら約款、勤務先から受け取る弔意金や死亡退職金は勤務先の規定、などのように、元々の受取順位が定められています。
そのため遺産分割協議を行うことなく、受取人が決まります。
一方で、これらの財産は、相続財産ではないですが、故人が築き上げた財産のようなものです。死亡保険金なら、生前に故人が支払っていた保険料が元手ですし、死亡退職金などは故人が生前に頑張った報酬といえます。
そのため、相続財産のようなものとして、相続税の対象とされています。
ただし、△をつけた財産については、次の非課税枠がありますので、財産の全部が相続税の対象ではありません。
・共済金や死亡退職金・・・法定相続人1人あたり500万円
・死亡保険金・・・・・・・上記とは別に、法定相続人1人あたり500万円
・弔意金・・・・・・・・・亡くなる直前の給与の3年(業務外の死亡は半年)分
おわりに
パッと見て相続税の対象にみえる財産でも、実は相続税の対象ではないことがあります。
恥ずかしい話ですが、資産税に携わって最初のころ、未支給年金を相続税の対象として相続税の申告書を作成し、社内チェックで指摘いただいた過去があります。。。
相続税の申告を税理士に任せていたとしても、ご自身の目で、財産かきちんと区分できているかチェックされるのがおすすめです。
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【編集後記】
大相撲の秋場所が始まりましたが、稀勢の里に加えて白鵬まで休場してしまい、ちょっと寂しい場所になってしまいました。
逆に考えれば、少し注目度が下がって、当日券が入手しやすくなっているのかも??