相続対策、相続税対策は、合理性を重視すると失敗します。特に、財産を承継する側が主導して対策を行う場合は要注意です。
財産を承継する側の思い
相談を受けていて、財産を承継する立場の方からよくお聞きする思いは、例えば次のようなものがあります。
・相続税を負担する必要が有るのかないのか
・相続税が掛かるなら、一体いくらかかるのか
・どれぐらい財産を貰えるか
・相続税対策としてアパートを建ててくれたのはいいけれど、借金を返済できるのか不安
財産を承継させる側の思い
同様に、財産を承継させる立場の方からよくお聞きする思いは、次のようなものがあります。
・(配偶者がいる場合)自分が亡き後の妻(夫)の生活は大丈夫だろうか
・相続対策とはいうけれど、自分の生活もあるし、贈与をして財産が減るのが不安だ
・誰に何を継いでもらおうか
・死後に争いは起きないだろうか
・(地主さんなど先祖伝来の土地を守ってきた方なら)今後もちゃんと守ってくれるだろうか
・相続税を払えるのだろうか
人により様々な思いがある
そんなこと当然だろうと思われるかもしれませんが、人には様々な思いがあります。
例えば、相続税は誰だって支払いたくないでしょうし、払うにしても出来るだけ少なくしたいと思うでしょうから、何らかの相続税対策は実施することでしょう。
ですが、その優先順位は、財産を承継する立場の方からすれば最優先事項だったとしても、承継させる立場の方からすれば先ずは自分や配偶者の生活が第一で、相続税対策は二の次、ということもあり得るのです。
合理性を重視し過ぎると失敗する
財産を承継する立場の方が、相続税の負担を気にするあまり、強引に対策を進めようとしたらどうなるでしょうか。
財産を承継させる立場の方も、相続税対策を第一に考えているなら、思いは一致しているのでそれほど問題にはならないでしょう。
問題はそうではなかった場合です。
承継する立場からすれば合理的と思える行動でも、受け入れられなければ意味がありません。
思いを汲み取らず、合理性重視で押し切ると、うまくいかないどころか、逆に合理的ではないと思われる対応で返されて、どうにもならなくなることもあります。
思いの違いを意識する
合理的な考えは、錦の御旗のようなところがあって、ついつい相手に押し付けてしまいがちです。
ですが、そこで一歩立ち止まって、相手の思いに考えを巡らす、違いを意識する。
それだけでも、物事の進み方は随分と変わってくる筈です。