上場されていない会社の社長さんに、御社の株価はいくらですか?と質問して、答えが返ってくる割合は、経験上1割以下です。
特に社歴が長い(10年以上)会社や、事業承継を考えている社長さんは、自社の株価を意識していないと、後で思わぬ税金の負担が生じるかもしれません。
目次
株価計算の目的
株価計算の目的は、一つではなく複数ありますが、主に次のものが考えられます。
・相続、贈与
・身内への譲渡
・第三者への譲渡
株価はどうやって出すのか
株価計算の目的によって異なりますが、上場していない会社の場合、その殆どが税法のルールに沿って行われます。
当記事も、以下税法ルールを前提として説明いたします。
株価は、次の2つの要素を考慮して求めます。
(1) 評価する会社の純資産がいくらか?
(2) 評価する会社の収益力などが、同業種の上場企業と比較した場合にどの程度の優位性があるか?
上記2つの要素をどれぐらいの割合で考慮するかは、評価する会社の規模で決まりますが、規模が大きいと(2)のみで評価、規模が小さくなるに従って(1)を考慮する割合が増加し、規模が最も小さいと(1)、(2)をそれぞれ50%の割合で考慮して評価します。
株価を知らないデメリット
いくつか考えられますが、株価を知らないことにより、起き得る問題点への事前準備ができないことがデメリットです。例えば次の場合があります。
事業承継にあたり、後継者への生前贈与を適切に実施できない
後継者へ事業を承継させるには、人の承継、取引先の承継、理念の承継等、様々なものを承継させる必要がありますが、株式を適切なタイミングで承継させることも忘れてはなりません。
適切なタイミングとは、承継の税コストを念頭に置いた場合には、株価が低い時を狙って後継者へ株式を移転することを指します。
自社の株価の高低や、その原因(収益力が高いからか、資本の蓄積が厚いからか、等)を把握していないと、適切なタイミングで株式の承継を行うことができません。
ご自身に万が一のことがあった際の、ご遺族が負担する相続税がわからない
自身に万が一のことがあった場合、残された遺族には、自身が所有していた株式という財産が残されます。
この株式という財産を、税法ルールに沿って評価した場合、思わぬ高額な評価額がつき、相続税の負担が遺族に重くのしかかることも珍しくありません。
仮に、相続人が3人(配偶者、子2人)、財産が自社株式のみとして、評価額が1億円で相続税は630万円、評価額が2億円だと相続税は何と2,700万円にもなります。(配偶者の税額軽減適用前)
相続税を支払えるだけのお金のゆとりがあれば別ですが、そうでなければお金の準備をどうしたら良いか、株価を引き下げる余地がないか等を検討しなければなりません。
所有する株式の大まかな株価を知る方法
従業員数が100人未満の場合、次の算式により、ご自身が所有する株式の大まかな評価額合計を知ることができます。
決算書の「貸借対照表」の純資産の部の金額 × 50% × 株式の所有割合
この評価額はあくまで概算(ざっくりとした)額のため、正確な株価は、顧問税理士か、株価計算に詳しい税理士に個別に依頼して出して貰いましょう。