自宅を売却して利益が出た時に使える税金の特例

自宅を売却して利益が出た時に気になるのが税金の負担です。

この記事では、利益(売却益)が出た時に使える税金の特例をご紹介します。

まずは売却益の見込みがあるかどうか検討する

自宅の売却にあたって使える税金の特典は、売却で利益が見込めるか見込めないかで大きく変わります。

したがって、先ずは自宅を売却したら売却益が見込めるか、そうではないか検討してみましょう。

自宅の売却益の考え方は、こちらの記事をお読みください。

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売却益の見込み&自宅の買い換え予定なし

売却益が見込まれる場合で、自宅の買い換え予定がない場合には、次の2つの特例が使えます。

これらの特例は一緒に使うことができます。

3,000万円控除

売却益から3,000万円を差し引くことができる特例です。

この特例を使うことができれば、売却益が3,000万円以下の場合は無税でいけます。

特例を使うための条件は、次の3つ(建物を取り壊した場合は4つ)です。

・住んでいる家か、住まなくなってから3年以内の家であること。

・売却先が身内ではないこと。(同一生計ではない兄弟姉妹はOKです)

・過去2年(平成29年から見れば平成28年、平成27年)に、この特例や買い替え特例(=後で出てきます)などの不動産に関する特例を使っていないこと。

・建物を取り壊して売った場合は、取り壊し日から売買契約日が1年以内であることと、更地を他の用途に使っていないこと。

因みに、住んでいた期間や、所有していた期間は関係ありません。

仮に住んでいた期間が半年だったとしても、その家を自宅として使っていたのなら、この特例が使えます。

また自宅が共有の場合はそれぞれ申告する必要がありますが。3,000万円控除は物件ごとではなく、申告する人ごとに使えます。

「身内ではない」とは

先ほど、売却先が身内ではないことが特例を使える条件の一つと書きましたが、具体的には次の方以外の方が身内ではないことになります。(次の方に売却した場合は特例は使えません。)

・配偶者(内縁含む)

・直系血族(=親、祖父母、子、孫など)

・同一生計の親族

・売却後にその自宅に売主と一緒に済む親族

・売主から得られる金銭などで生活している者と、その者の親族

・売主に関係している同族会社

軽減税率

自宅を売却した時の税率は、所有期間が5年以内なら39.63%、5年超なら20.315%です。

ただし、次の4つ(建物を取り壊した場合は5つ)の条件を全て満たした場合、利益が6,000万円以下の部分は14.21%の税率が使えます。

・住んでいる家か、住まなくなってから3年以内の家であること。

・所有期間が10年超であること。(住んでいた期間は関係ありません。)

・過去2年(平成29年から見れば平成28年、平成27年)に、この特例や買い替え特例(=後で出てきます)などの不動産に関する特例を使っていないこと。

・売却先が身内ではないこと。

・建物を取り壊して売った場合は、取り壊し日から売買契約日が1年以内であることと、更地を他の用途に使っていないこと。

所有期間の数え方は特殊です

所有期間は、数え方が特殊なので注意が必要です。

○・・・取得日の翌日から売却した年の1月1日で数える

×・・・取得日から売却日

つまり、カレンダー上では所有期間が5年を超えているのに、税金の計算上は5年以下となる場合があります。

例えば、平成24年5月1日に取得した不動産を平成29年8月1日に売却した場合の所有期間は、平成24年5月2日〜平成29年1月1日で数えますので4年8か月になります。

売却益の見込み&自宅の買い換え予定あり

売却益が見込まれる場合で、自宅の買い換え予定がある場合には、次のいずれかの特例が使えます。

3,000万円控除

先ほど説明したものと同じ内容です。

この特例を使った場合は、買い換えた自宅に住宅ローン控除が使えませんので、どちらが有利か検討する必要があります。

買い替え特例

買い替え特例は税金の負担を将来に先送りする方法

例えば

・6,000万円で自宅を売却し、売却益が4,000万円だった

・買い換えた自宅は8,000万円

だった場合、買い替え特例を使えば売却益4,000万円に税金が全く掛かりません。

ただし、買い換えた自宅を1億円で売却した場合の売却益は

・買い換え特例を使っていた場合は、1億円ー(8,000万円-4,000万円)=6,000万円

・買い替え特例を使っていなかった場合は、1億円ー8,000万円=2,000万円

となります。

買い替え特例を使うと、買い換えた自宅を売却した時に過去の売却益が表面化し、税金が課税されることになります。

つまり買い替え特例は、税金の負担を将来に先送りする制度、といえます。

そのことを理解して使うぶんには、とても良い制度です。

因みに、売却額を下回る金額で買い換えた(例.6,000万円で売却し、買い換えた自宅は4,000万円で購入した)場合は、売却金額のうち買い換えに使わなかった金額(=2,000万円)に見合う売却益は特例が使えず、税金が掛かります。

買い換え特例を使うための条件

売却した自宅についての条件は次の通りです。

・住んでいる家か、住まなくなってから3年以内の家であること。

・日本国内にあること。

・売却価格が1億円以下であること。

・居住期間が10年超であること。

・所有期間が10年超であること。

・売却先が身内ではないこと。

・過去2年(平成29年から見れば平成28年、平成27年)に、この特例や3,000万円控除などの不動産に関する特例を使っていないこと。

・建物を取り壊して売った場合は、取り壊し日から売買契約日が1年以内であることと、更地を他の用途に使っていないこと。

買い換えた自宅についての条件は次の通りです。

・建物の登記簿上の床面積が50㎡以上、かつ敷地の地積が500㎡以下であること。

・売った年の前年か翌年に購入し、一定の期間内に住み始めること。

・耐火建築物の場合は築25年以内であること。(但し耐震証明があれば年数制限なし)

まとめ

自宅を売却して利益が出た場合に使える税金の特例について説明いたしました。

売却益の場合は使える選択肢は多いのですが、よほど不動産が値上がりしない限りは3,000万円控除で何とかなることが多いと思われます。

ご紹介した特例は、確定申告しないと使えませんので、この点はくれぐれもご注意ください。

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【編集後記】

今日の記事は、もっとサクッとあっさりと書くつもりだったのが、条件をつらつら書いているうちに思わぬ長文になってしまいました。。

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