紙の法人税申告書を提出する場合、社長が申告書に署名して、会社実印(代表者印)を押すのが一般的のようですが、実はこれ、間違っています。
間違いに気づくまで
赤丸の箇所に印鑑を押します。
初めて法人税の申告に関わるようになってから約3年間、当たり前のように
会社実印による捺印をお願いしていました。
10年以上前のある時、何となく専門書を眺めていると、申告書の作成例が載っていました。
その作成例に捺印されている印鑑が、どう見ても会社実印に見えず、個人の三文判にしか見えません。
頭の中は?マークです。
社長個人の認印が正解
色々調べていると、法人税法に以下の条文がありました。
第百五十一条 法人税申告書には、法人の代表者が自署し、自己の印を押さなければならない。
(条文は要約しています)
自己の印と書いてありますから、会社の印鑑である会社実印を押すのは間違っています。
また、単に印とありますから、自己(個人)の実印も必要ありません。
個人の認印を押さなければならない、となります。
違反すると罰金刑!?
更に調べを進めると、こんな条文が。
第百六十一条 第百五十一条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(要約しています)
会社実印を押して懲役食らったとか、罰金取られたとか、勿論一切聞いたことがないのでご安心を。
実印は必要ないにせよ、署名と押印にはそれなりの重みがあるんだと感じさせる一文です。
そもそも実印ってなに?
実印の意味は、その人(又は法人)の意思であることを証明するために押す印のことです。
印鑑だけだと誰でも押せますので、本人のみ取ることができる印鑑証明とのセットで、初めて本当の意味での実印となります。
法人税の申告書には印鑑証明を添付しません。このことからも、会社実印を押す意味は、少なくとも法律上は全く意味がないことが分かります。
他にも似たような例が
法人税の申告書に限らず、実印が必要とされていないのに、実印を押す場面は色々あります。
例えば遺言書。
遺言書は、自署は必要条件ですが、実印は必要条件ではありません。
でも何故か、本人も周りも、実印を押すことを勧めたりします。
実印は、仮に印鑑証明がなくとも、それなりの重みがありますから、本人が作った書類に間違いないことを補強するような効果はあると思います。
それを期待して、実印を押すのでしょうね。