上場会社の配当金を確定申告した場合の有利不利について、2017年2月5日付で次の記事を書いています。
ところが、上記記事の前提条件を覆す情報が発覚。そのことについて、2017年3月17日付で次の記事を書いています。
そこで今回は、上記を踏まえた、有利不利の判定方法の改訂版をまとめてみました。
目次
大事な大事な大前提
今回の記事の大前提は次の通りです。
・上場会社の配当金について、総合課税により確定申告を行うこと。
(投資信託の収益分配金は、今回の記事で判断できません。)
・【重要】確定申告とは別に住民税の申告を行う。住民税の申告上、上場株式の配当金は記載しない。
つまり、上場株式の配当金について、所得税だけ申告を行います。
このように申告する前提の場合は、確定申告をすると有利か不利かの比較は所得税だけ考えれば良いことになります。
(参考)国民健康保険、介護保険について
国民健康保険や介護保険は住民税の情報を基に決まる場合が殆どです。
住民税の申告上、上場株式の配当金は外す(申告しない)ため、国民健康保険や介護保険は、有利不利の判定上考慮する必要はない、ということになります。
1.上場株式の配当金を確定申告した場合
所得税がかかる
配当金を確定申告した場合は、所得税がかかります。所得税率は5.105%〜45.945%です。
課税される所得が大きくなると、所得税税率も高くなります。
配当控除
上場株式の配当金は、10.21%(※)を上記の税率から差し引きます。これを配当控除と言います。
配当控除後の所得税の税率は次の通りです。
配当控除という制度がある理由
配当金は、上場会社が法人税を払った後の利益から支払われるものです。
その配当金にもう一度税金(=所得税)を掛けてしまうと、2回税金を掛けてしまうことになります。
そこで、配当控除によって、2回税金が掛かることをある程度防いでいます。
(※)課税される所得が大きくなると率が下がりますが、当記事では関係ないため説明を省略します。
2.上場株式の配当金を確定申告しない場合
配当金を受け取った際に、所得税が天引きされています。税率は15.315%です。
なお、住民税(税率は5%)も合わせて天引きされているので、合計20.315%分の税金が天引きされています。
3.確定申告の有利不利は税率の大小を比べればOK
上場株式の配当金を確定申告した方が有利か不利かは、前述の1.と2.の税率を比べればOKです。
例えば
→課税される所得が900万円以下なら
・・・確定申告した場合の税率(0%〜13.273%) < 天引き時の税率(15.315%)のため、確定申告した方が有利
→課税される所得が900万円超なら
・・・確定申告した場合の税率(23.483%) > 天引き時の税率(15.315%)のため、確定申告しない方が有利
と判断できます。