相続開始前3年以内の生前贈与は、相続税の計算の際に財産として含める必要があります。
このことを生前贈与加算と言いますが、気をつけないといけないことが有ります。
贈与財産が無くなっても加算
時々質問を受けるのが、生前贈与した財産が無くなったら加算しなくて良いのですか?というものです。
何らかの理由で財産が無くなっているのですから、加算しなくても良いのでは、と言うお気持ちは分かります。
ですが、残念ながら加算は必要です。
生前贈与した財産が無くなったとしても、他の財産に変わっていることが殆どです。
贈与された上場株式を売却して現金に変わった、贈与された現金で不動産を購入した、など。
110万円以下の贈与でも加算
通常の贈与は、年間110万円までは贈与税が掛かりません。
贈与税は掛かりませんが、生前贈与加算の対象であることには変わりません。
贈与税が非課税だから加算しなくて良いのでは?と考えがちですので、気をつけましょう。
贈与時の時価で加算
こちらもよく質問を受けるのですが、時価がある財産を生前贈与した場合に加算する金額は、相続開始時の時価ですか?というもの。
上場株式だと、そういうことが起こりますね。
上場株式を生前贈与したとします。
贈与時の価値は100、相続開始時の価値は50とすると、生前贈与加算する金額は100です。
何だか損した気がしますが。
贈与時の価値は50、相続開始時の価値は100とすると、生前贈与加算する金額は50です。
損か得かではなく、あくまで贈与時の価値を加算しなさい、ということになっています。
特別受益の持戻しは相続開始時の時価で加算
先ほどまでの相続税の話は一旦忘れましょう。
唐突ですが、こんな相続の場合、あなたがBさんならどう思いますか?
(法定相続分は各2分の1)
私がBさんだったら、生前贈与も考慮して相続しないと不平等だ、と怒ると思います。
それでは、これなら?
これなら平等ですね。
この場合、相続分は相続開始時の財産8千万円だけでなく、生前贈与2千万円を足した1億円を基礎に考えると平等に相続できます。
この「生前贈与2千万円を足す」ことを、「特別受益の持戻し」と言います。
特別受益の持戻しは、相続税(生前贈与加算)とよく似ていますが、次の2点が大きく違います。
・特別受益の持戻しは、相続開始時の時価で行う。
・特別受益の持戻しは、相続開始前3年以内という縛りがない。
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【編集後記】
ブログ作成はお題が決まれば9割完成したようなもの、とは言い過ぎでしょうか。