国税庁より、贈与税の調査の状況について最新版の発表がありました。
上記リンク先の、下の方に贈与税の記載があります。
相続税についてのブログはこちら。
昨年と比べて申告漏れの金額が大きく増加していますが、これには分かりやすい原因がありました。
目次
発表対象期間
今回発表となったのは、2016年7月から2017年6月までの間に行われた贈与税の税務調査についてです。(税務署のいう「事務年度」は、7月スタートです。)
相続税の税務調査は、相続開始から2年が経つと、そろそろ調査の連絡があるかもしれない、と身構えるところです。
贈与税の税務調査は、筆者が知る限り、贈与して2年後のような、調査時期の目安のようなものはありません。
2016事務年度は申告漏れが大幅増
2016事務年度(2016年7月から2017年6月)に行われた贈与税の税務調査では、申告漏れとされた財産の額が1,918億円と、昨年度の195億円の約10倍となりました。
(出典:国税庁ホームページ)
この表を最初に見た時、集計ミス??と疑ったほど、ビックリする申告漏れ額です。
ちなみに、2015事務年度(2015年7月から2016年6月)の実績はこちら。
(出典:国税庁ホームページ)
176億円→195億円→1,918億円?
急増の裏には、何か理由がありそうです。
贈与税の申告漏れが増えた理由①国税庁の体制強化
理由としてまず考えられるのは、国税庁の体制強化です。
実は、国税庁がこんなことを言っています。
(出典:国税庁ホームページ「国税庁レポート2017 44頁」 黄マーカーは筆者による)
富裕層についての課税強化は、ときどき新聞・経済誌を賑わせているので、ご存知のかたも多いと思います。
そこで、最近5年の贈与税の調査実績をまとめてみました。
(出典:国税庁ホームページ 各事務年度の相続税の調査の状況について 非違割合は筆者による)
確かに、プロジェクトチーム設置後については、非違割合は増加しているものの、申告漏れ課税価格は設置前を下回っています。
2016事務年度で急に増加したのは、設置した成果が現れた?
贈与税の申告漏れが増えた理由②突出した事例の存在
実は、2016事務年度には、税理士の間ではとても有名な、ある事件が起きた事務年度でした。
以下、新聞記事の引用です。
(出典:産経WEST 2016年9月17日付)
金額の巨額さに恐れ入ります。
本件の詳細についてはさておき、この事例が先ほどの調査の実績に当然影響しています。
そこで、本件の影響を除いてみました。
(出典:国税庁ホームページ 各事務年度の相続税の調査の状況について 非違割合は筆者による。2016事務年度は上記新聞記事に記載の金額を控除し、1件あたりの額は筆者による再計算したもの)
本件を除いても、申告漏れは195億円→418億円と、2倍強の増加率です。
本件のような突出した事例を除いても、贈与税について監視の目が強化されているのは間違いない、と考えた方が良さそうです。
申告漏れ財産は現金・預貯金等が圧倒的
申告漏れ財産は、現金・預貯金等が圧倒的です。
(出典:国税庁ホームページ)
申告漏れ額の6割以上が現金・預貯金等です。ちなみに相続税だと3割ちょい。
ところで、なぜ2016(平成28)事務年度のグラフではなく、2015(平成27)事務年度のグラフを出したのは、理由があります。
次のグラフは、2016(平成28)事務年度のグラフです。
(出典:国税庁ホームページ)
なぜか申告漏れ額ではなく、申告漏れ件数によるグラフになっています。
先ほどの突出した事例(財産でいうと有価証券)があるため、例年通り申告漏れ額でグラフを作成すると、有価証券が突出することになります。
そういうグラフは、国税庁的に面白くないのかも。
だって、国税庁はきっと、現金・預貯金の贈与はちゃんと申告してね、申告しなくてもバレるよ、と言いたいのでしょうから。
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【編集後記】
九州場所の勝ちっ放し、白鵬や豪栄道は納得ですが、なんと安美錦39歳も頑張っています。
稀勢の里は、まだちょっと時間がかかる感じですかね。左がどうのより、腰が高いのが気になります。