固定資産の「取得」「資本的支出」「修繕費」何が違うのか例をあげて解説してみた

固定資産にまつわる3つの単語

「取得」「資本的支出」「修繕費」

これらの違い、ハッキリと区別できますか?

では、試しに次の問題をどうぞ。

・パソコンのモニタを追加購入した場合は「取得」?それとも「資本的支出」?

・アパートの外壁塗装は「資本的支出」?それとも「修繕費」?

分からない場合は、どうぞ本文をお読みください。

(そんなの余裕やで〜、という方も、できればお読み頂けると、とても嬉しいです。)

取得とは無が有になること

まず、取得から説明します。

取得とは、例えば

・パソコンを新しく買い替えました。

・部屋に新しく(又は古いエアコンを撤去して)エアコンを取り付けました。

・車を買いました。

・アパートを建てました。

というようなことを言います。

表現を変えると、無の状態が有の状態になる、と言えば良いでしょうか。

(分かりづらい場合は、この表現は無視して下さい。。。)

そんなの当たり前やん!と思われた方。

そう、当たり前のように見えるんです。後で説明する「資本的支出」を見るまでは。

ふっふっふ。。

修繕費は既にある資産の修理

修繕費は、文字通り、修理のための費用です。

例えば

・ノートパソコンのモニターが壊れたので取り替えてもらった。

・アパートの外壁塗装が薄くなってきたので塗り直した。

・車のタイヤがパンクしたので交換した。

というようなことを言います。

何れも、既にある資産が壊れたり痛んだので修理した、ということです。

そんなの当たり前やん!と思われた方。

そう、当たり前のように見えるんです。後で説明する「資本的支出」を見るまでは。

ふっふっふっふ。。。

資本的支出は既に所有している資産の性能アップ

最後に、資本的支出です。

まず、資本的支出について、国税庁がどのように説明しているか見てみましょう。

法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となるのであるから、例えば次に掲げるような金額は、原則として資本的支出に該当する。

(1) 建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額

(2) 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額

(3) 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額

(注) 建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる

(法人税法基本通達7−8−1 一部筆者による削除箇所有り。黄マーカーは筆者による)※所得税も同様の通達あり。

つまり、資本的支出とは、既に所有している資産の性能アップ、ということです。

というのは簡単ですが、実際には

・「修繕費」と「資本的支出」の区別が難しい

・「取得」と「資本的支出」の区別が難しい

ことがとても多いです。

例えば、車にまつわることで、いくつか例を挙げてみますと

・車のタイヤがパンクしたので交換した・・・・・修繕費

・車のタイヤを性能の良いものに取り替えた・・・資本的支出

・冬に備えてスタッドレスタイヤを追加購入した・資本的支出

・外付けカーナビを購入した(車載専用)・・・・資本的支出

・外付けカーナビを購入した(持ち運び可)・・・取得

となります。

 区別する理由

取得、資本的支出、修繕費は、なぜ区分しなければならないのでしょうか?

現実的な理由があります。

取得と資本的支出は、一定の金額以上になると、支払時に100%経費にできません。

何年かにかけて少しずつ経費に(=減価償却)します。

修繕費は、金額の大小に関わらず、支払い時に100%経費です。

このように、100%経費になるラインがそれぞれ異なるので、正しく判断を行う必要があります。

次の図をご覧ください。

先に少し補足しますと、取得の金額ラインは、青色申告の場合は30万円未満で全額経費、30万円以上で少しずつ経費になります。但し年300万円に達するまでです。

更に大事な補足ですが、30万未満で全額経費ルールは、取得にのみ使えるルールです。資本的支出には原則として(※)使えません。

(※)ややこしい話をしますが、資本的支出とされるものでも、それ単体で機能するようなものは例外的に30万円未満で全額経費ルールが使えます。

では、これまでの記事を踏まえて一つ例題を。

青色申告を行なっているあなたは、既にノートパソコンを所有していますが、業務効率化のためモニタを買い足すことにしました。モニタの購入金額が

・15万円の場合

・25万円の場合

それぞれ、どのように処理すれば良いでしょうか。

考えないといけないことは、モニタの購入は「取得」なのか「資本的支出」なのか、ということです。

モニタは、モニタ単体では電源を入れても真っ黒い画面のままで、パソコンなどの外部機器から映像情報を受け取ることで、初めてモニタとしての機能を発揮します。

つまり、追加モニタ購入は、既に所有しているノートパソコンの機能を拡張するものと考えられるため、「資本的支出」といえます。

次に、資本的支出が全額経費になるラインはいくらだったでしょうか。

そう、20万円です。

ということは

・モニタの購入金額が15万円の場合・・・全額経費

・モニタの購入金額が25万円の場合・・・少しずつ経費

となります。

まとめ

取得、資本的支出、修繕費は微妙に違うんだよということ、取得と資本的支出は全額経費になるラインが違うよ、ということについて説明してきました。

実際には、これらの区分は判断に迷うことが多いので、税理士と契約している方は税理士に、そうでない場合は税務署に質問して、確実に解決するようにしましょう。

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【編集後記】

明日は花火大会の集中開催日とのニュースを見ました。夏真っ盛りな感じがします。

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