サラリーマンが独立してフリーランスになると、環境が変わるのは勿論ですが、税金の手続きは基本的に自分自身で行う必要があるなど、大きく変わります。
本記事では、フリーランスを意識した時に知っておきたい税金の知識をまとめてみました。
目次
どんな税金がかかり、手続きはどうするのか
個人が稼いだものにかかる税金は
・所得税
・住民税
この2つです。これはサラリーマンもフリーランスも変わりません。
ただし、フリーランスのみ
・個人事業税
がかかる場合があります。
また、フリーランスになって3年目以降は
・消費税
がかかる場合があります。
所得税や住民税は、所得から社会保険料、扶養控除などを差し引いた残りに税率をかけて計算します。
個人事業税は、所得から290万円を差し引いた残りに税率をかけて計算します。
税率は次の通りです。
・所得税:5.105%〜45.945%(所得が大きくなるほど増加)
・住民税:10%(市町村で多少の差は有り)
・個人事業税:5%(業種により4%、3%、非課税の場合有り)
所得の意味、所得税の税率については、これらの記事も併せて読むと理解が深まります。
サラリーマンは会社が全て手続きしてくれる
サラリーマンは、所得税の計算は会社が、住民税の計算はお住まいの市町村が行います。
市町村は、会社からあなたの給与情報を提供してもらって、住民税の計算を行っています。
そのため、サラリーマンが行うことは年末に書類(扶養控除の申告書や保険の控除証明書など)を会社に提出するだけで、あとは全て会社が色々と手続きしてくれます。
独立したら全部自分で行う
フリーランスは、所得税の計算は自分で行わないといけません。この手続きが、あの「確定申告」です。確定申告された情報は、税務署から都道府県や市町村へ渡ります。
市町村は、確定申告の情報を基に住民税の計算を行い、自宅に納付書を郵送してきます。
都道府県は、確定申告の情報を基に事業税の計算を行い、自宅に納付書を郵送してきます。
納税はいつ行うか
サラリーマンとフリーランスは、納税を行うタイミングと方法が大きく違います。
特に独立直後は、かなり意識して納税を行わないと思わぬ納付モレが起きやすいです。
サラリーマンは毎月の給与から天引き
サラリーマンは、毎月の給与から所得税と住民税が天引きされています。
そのため、自分の懐(通帳)からお金を引き出して納税する、ということが殆どどないため、納税をした、という意識があまり無いかもしれません。
フリーランスはかなり後で支払う
フリーランスは、ごく一部の仕事を除いて、行った仕事に対する収入がそのまま自分の懐(通帳)に入ってきます。納税は後で行います。
所得税は来年の3月15日に、住民税は来年の6月に、事業税は来年の7月と11月に納税する必要があります。
貰った報酬の1年以上先に、貰った報酬に対する税金を支払うことも珍しくありません。
したがって、毎月の収入のうち何割かは納税資金として別口座にプールしておくと、納税の時に困りません。
手取り額の考え方
サラリーマンは、毎月もらえる手取りは税金支払済のため、100%使えます。
フリーランスは、税金の天引き制度は原則として有りません。では、税金をどれぐらい見ておけば良いでしょうか。これが分かっていないと、毎月安心して使えないですよね。
あくまで大まかな目安(※)ですが、年間の所得(収入から経費を引いたもの)が
・350万円・・・所得の20%
・500万円・・・所得の25%
・950万円・・・所得の30%
ぐらいが税金の目安になります。経費が分からない場合は、収入金額で判断すると良いでしょう。
※社会保険料を年間70万円、家族構成を配偶者、中学生以下の子供とした場合。
なお、手取り額は税金の他に社会保険料(国民健康保険、国民年金)も考慮する必要があります。
青色申告と白色申告の違い
確定申告は、青色申告と白色申告の2種類の方法があります。
何もしなければ白色申告に、申請書(後述)を提出すれば青色申告になります。
白色申告に拘りがあるとか、白色申告じゃなきゃイヤだ、とかなければ、青色申告にしておけば間違いはありません。白色申告のメリットはほぼゼロですので。
それぞれの方法の違いは次の記事をご覧ください。
開業したら1ヶ月以内に税務署に届け出る
開業したら、少なくとも次の2つの書類は税務署に提出しましょう。
・開業届
・青色申告承認申請書
提出期限は、開業届は開業後1ヶ月以内、青色申告承認申請書は開業後2ヶ月以内です。どちらにしろ提出するなら、2つともまとめて1ヶ月以内に税務署に提出しましょう。
提出先の税務署は、住所を管轄する税務署です。
管轄する税務署についての参考記事はこちら
書類の書き方については、別の機会で記事にしたいと思います。
まとめ
フリーランスになると、税金の手続き、税金の支払い方法が大きく変わることを理解してきましょう。
開業したら、早い目に開業届と青色申告承認申請書を提出しましょう。
||||||||||||||||||||||||||||||||
【編集後記】
事務所への入り口にセコムがかかっているのですが、セコムカードを持ち出すのを忘れた状態で外に出て締め出されてしまい、さらに携帯も持っていないという事態に。
今年一番の冷や汗をかきました。