創業後、順調に業績を伸ばしている会社の中には、従業員への感謝の意味も込めて創業記念品を支給する場合があります。
創業記念品は、一定の基準を満たせば福利厚生費扱いとなり、税金が掛かりません。
それでは、家族経営の会社で創業記念品を支給したら、やはり税金が掛からないのでしょうか。
税金が掛からない創業記念品の条件
支給する創業記念品は、次の全てを満たした場合に、福利厚生費扱いの創業記念品として税金がかかりません。
・社会通念上記念品としてふさわしいもの。
・創業記念品の価額(処分見込価額により評価した価額)が1万円以下のもの。
・おおむね5年以上の期間ごとに支給するもの。
社会通念上とは、一般常識のようなものです。何が常識的かと言われると難しいのですが、換金性の高いもの(商品券など)はダメなのかと思われます。
処分見込価額とは、国税庁ホームページ(タックスアンサー)に書かれている通り、通常販売価額の60%相当です。
(参考)
逆算すると、1万6,666円以下の商品なら、非課税の創業記念品として支給できることになりますね。
また、上記の3つの要件には含まれていませんが、福利厚生費は創業記念品に限らず全社員平等が前提ですので、特定の部署だけ、役員だけの様な、支給範囲が限定的なものは福利厚生費になりません。
家族経営の会社で創業記念品を支給するとどうなるか?
それでは、役員や従業員が全て家族の場合に創業記念品を支給すると、福利厚生費になるでしょうか。
結論は次の通りです。
・役員のみで構成されている会社は、福利厚生費扱いは難しい
・一部の家族が従業員の会社は、即座にダメということにはならない
理由については、(創業記念品ではありませんが)従業員レクリエーション旅行について国税庁が次の通り考え方を記載しており、参考になります。
次のようなものについては、ここにいう従業員レクリエーション旅行には該当しないため、その旅行に係る費用は給与、交際費などとして適切に処理する必要があります。
(1) 役員だけで行う旅行
(2) 取引先に対する接待、供応、慰安等のための旅行
(3) 実質的に私的旅行と認められる旅行
(4) 金銭との選択が可能な旅行
(参考)
福利厚生費は従業員を対象としたものですから、役員だけで行う旅行は従業員レクリエーション旅行では無いことは分かります。
役員のみで構成されている会社は、創業記念品も同様に考え、福利厚生費には該当しないものと考えられます。
家族の一部が従業員の場合は、先程の3つの要件を満たしている限り、福利厚生費にならないとは言い切れません。
家族だから、といった理由で否定できるものでは無いでしょう。
ただし、従業員と思っていても、税務上は役員とみなされる場合がありますので、そこは気をつける必要があります。
(参考記事・・税務上は役員とみなされる場合について書いています)
おわりに
無税で支給できる創業記念品は、制約条件が厳しく、思ったような品物を支給することが出来ないかも知れませんし、そもそも役員だけの会社は福利厚生費扱いが難しいでしょう。
家族経営というだけで、経費に対して税務署が注ぐ目は色眼鏡です。
創業記念品だけでなく様々な経費についても、経費として問題ないことを事情を知らない第三者(←税務職員)に説明できるよう、意識されることのがオススメです。
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【編集後記】
最近、セブンイレブンのサラダチキンスモークにハマっています。何かイケナイ成分でも含まれているのかと思うほど、毎日食べています(^_^;)