2017年11月30日付の日本経済新聞によりますと、森林環境税が導入されるようです。
森林保全に使われ、税金は一人あたり年間1,000円。
このニュース、税理士としては「何をいまさら?」感で頭の中がいっぱいです。
そのあたりの事情についてまとめてみました。
導入予定の森林環境税について
2018年度税制改正において、森林環境税が導入される予定です。
森林環境税は
・個人にかかる税金
・税額は年間1,000円
・2024年度からかかる
・サラリーマンなら、毎月の給料から天引きされている住民税が増える形になる
・使いみちは森林保全
というものです。
金額は大きいものではないですし、使いみちも何となくまあ良いか、と思えるものなので、反発もあまりなく、あっさり導入されそうです。
実は既に存在する森林環境税
森林環境税は、新しくできる税金のように感じられそうですが、実は違います。
というのも、既に森林環境税は存在するからです。
手元に、「市民税 都民税 特別徴収税額の決定通知書」(※)という書類があれば、次の画像の赤い丸で囲ったものと同じ項目を確認してみてください。
(※)毎年5月か6月の給料明細に同封されている、数字がごちゃごちゃ書かれた横長の紙です。
そこに書いてある金額が
・市民税の均等割額なら、3,500円
・都(または道府県)民税の均等割額なら、1,500円
をこえる金額が書いてある場合は、ほとんどの場合、森林環境税を払っていることになっています。
2017年現在において存在する森林環境税について
2017年現在において、既に存在している森林環境税は
・都道府県または市町村ごとに導入している
・導入していない都道府県や市町村もある
・税額はいろいろだが、500円前後が多い。
・サラリーマンなら、毎月の給料から天引きされている住民税に含まれている
・使いみちは森林保全か、水源環境保全
というものです。
情報が古いですが、2015年4月1日現在の導入状況が、次のPDF資料の10頁に載っています。
この資料によると
・都道府県で森林環境税を導入していないのは11都道府県
(北海道、青森県、東京都、埼玉県、千葉県、新潟県、福井県、大阪府、徳島県、香川県、沖縄県)
※京都府はこの資料では導入していないようですが、2016年度から導入されたようです。
・市町村で森林環境税を導入しているのは横浜市のみ。
という状況です。
8割近い府県で導入されているものの、市町村ではほとんど導入されていないことが分かります。
つまり、2018年度税制改正で導入されようとしている森林環境税は、森林保全というよりは
全国バラバラに導入されている税を統一して導入する
という目的が強いように思います。
まとめ
2018年度の税制改正で新しく導入される(ようにみえる)森林環境税は
・実は新顔でもなんでもないこと
・現在は全国的に統一されていない税を統一する目的もありそう
ということが言えそうです。
税金の負担はわずかながら、関心をもって見守っていきたいところです。
特に、もともとある森林環境税が廃止されるのかどうかは大事なポイントです。
(廃止されないと理屈にあわないです。)
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【編集後記】
毎年のことですが、師走が近づくと「来年の税制はアレがこうなってコレがこうなって」ニュースで花盛りです。
これからの時期は、突然の改正案が発表されることがあるので、油断ができません。