夫(または妻)の青色事業専従者になっていると、外でパートやアルバイトをしたらダメというイメージがあります。
本当にダメなのか検討してみます。
青色事業専従者給与を経費にするには?
青色事業専従者への給与を経費にするには、次の全ての条件を満たす必要があります。
・いくら払うのか事前に届け出をする
・給与が働きに見合っている
・青色事業専従者が専(=もっぱ)らその事業に従事するもの
本記事のテーマは
青色事業専従者が専らその事業に従事するもの
とは、一体どういうことなのか?これについて検討していきます。
「専らその事業に従事するもの」とは?
それでは、専らその事業に従事するものとは、具体的にどういう状況なのでしょうか?
所得税法では、「専らその事業に従事する」かどうか判定するために
専ら従事する期間がその年を通じて六月をこえるかどうか
という基準を設けています。
図解すると、こういうことですね。
専ら従事する期間が6月を超えていればOK、ということになります。
では、事業が忙しいときは青色専従者として、そうでないときは外でバイトを行ってもOKでしょうか?
図解すると、このような状況です。
先ほどの判定基準をもう一度確認しましょう。
専ら従事する期間がその年を通じて六月をこえるかどうか
アンダーラインに注目です。
専ら従事する期間が「その年を通じて」6か月をこえるかどうか、が判断基準です。
その年を通じて、つまり年間を通じて(通算して)6か月をこえるかどうか、ということです。
先ほどの図解は、専ら従事する期間(青色の期間)が6か月半ありますので、専ら従事すると言えるわけです。
働けない期間がある場合の考え方
これまで、事業を行っている期間(専従者として働こうと思えば働ける期間)が12ヶ月あるものとして説明しました。
それでは、働けない期間がある場合は、「専らその事業に従事する」かどうかどのように判定すれば良いでしょうか。
実は、ちゃんと基準が用意されています。
専ら従事する期間が、従事することができる期間を通じてその2分の1をこえるかどうか
具体的に見ていきましょう。
例えば、季節営業で毎年6月から9月しか営業していない事業の場合です。
この場合は、従事することができる期間が4ヶ月間ですので、専ら従事する期間が2ヶ月を超えていればOK、ということになります。
働けない期間は、事業の都合だけでなく、専従者の都合によることもあります。例えば次の図のようなケース。
3月まで学生、その後しばらく無職で過ごしたのち、青色専従者となった場合です。
この場合、従事することができる期間は4月から12月までの9ヶ月間ですので、専ら従事する期間が4ヶ月半を超えていればOK、ということになります。
図解では専ら従事する期間が5ヶ月ありますので、青色専従者OKです。
掛け持ちはどうか?
それでは、青色専従者と他の仕事を掛け持ちしている場合はどうでしょうか?
まず、所得税法は、次の期間は「専ら従事する期間」に含めることができないことになっています。
・学校の学生又は生徒である期間(昼間に行う事業の場合の夜学、夜に行う事業の場合の全日制はOK)
・他に職業を有する者(その職業に従事する時間が短い者その他当該事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者を除く。)
・老衰その他心身の障害により事業に従事する能力が著しく阻害されている者
法律を要約したもののため表現が難しくなっていますが、2番目のものが掛け持ちに関する定めです。
掛け持ちしている期間は「専ら従事する期間」にできない、という意味ですが、括弧書きに注目です。
この括弧書きの意味は、他の職業(=バイト)の時間が短いなどで、事業に専ら従事することの妨げにならない場合は、掛け持ちOKですよ、ということでうs。
例えば、事業が日中に行われていて、深夜に数時間程度のバイトを行っている場合は、掛け持ちOKということになります。
そんなに働いたら、身体を悪くするかも知れませんが・・・。
まとめ
青色専従者だから外でパートやアルバイトをしてはダメ、ということではなく、休業している期間や、掛け持ちの場合でもごく短時間ならOK、です。
ただし、税務調査がある場合に備えて、勤務状況の説明のために、勤務記録をメモでも良いので残しておくと、調査官への説明の際に役に立つでしょう。
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【編集後記】
本日は新しいMacBookProの設定にかなりの時間を割きましたが、ほぼ移行完了です。