企業版ふるさと納税という制度が、平成28年度税制改正で出来ました。
個人版ふるさと納税と名前はよく似ていますが、その内容は似て非なるものです。
それでは、どのような制度なのか、確認してみましょう。
目次
企業版ふるさと納税とは
企業版ふるさと納税とは、名前は納税ですが、実質は寄附金です。
都道府県や市町村が行う町おこしなどの事業のうち、内閣府の認定をうけたものについて、これらの地方自治体に寄附を行うと、通常の寄附より節税効果が高くなる、というものです。
内閣府の認定を受けた事業を、「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」といいます。
認定事業について、詳しくはこちらを参照ください。
制度の具体的な内容
企業版ふるさと納税による節税効果
企業版ふるさと納税を行ったことによる節税効果は、次のイメージです。
(出典 首相官邸HP 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)活用の手引き 青字は筆者による加筆)
1,000万円の企業版ふるさと納税を行ったとします。すると、税金の上では次の2つの効果があります。
(1)通常の寄附
地方公共団体への寄附なので、全額経費になります。法人税率を30%とすると、1,000万円×30%=300万円の節税効果
(2)企業版ふるさと納税
寄付額の30%を法人税から引くことができるので、300万円の節税効果
上記(1)と(2)を合わせて、総額600万円の節税効果があります。
企業版ふるさと納税でなくても、地方公共団体への寄附は、300万円の節税効果がありますが、企業版ふるさと納税に該当することで、更に300万円の節税効果が上積みされる仕組みとなっています。
本社がある地方自治体への寄附は適用外
企業版ふるさと納税は、認定をうけた事業ならどの地方公共団体でもよい、というのではなく、寄附をしようとする企業の本社機能があるところは適用外とされています。
地元企業による寄附は、企業版ふるさと納税の対象外ということです。
(通常の、地方公共団体に対する寄附金の取り扱いは適用されます。)
物の受け取りは禁止されている
企業版ふるさと納税は、寄附の見返りに謝礼品を渡すなど、寄附を行った企業に対して何らかの経済的な利益を与えることを禁止されています。
この点も、個人版ふるさと納税と大きく異なるところです。
企業版ふるさと納税に実利は求めない
これまで見てきた通り、企業版ふるさと納税は、純然たる寄附制度です。
したがって、個人版ふるさと納税のように謝礼品狙いでの寄附でなく、地方自治体の取り組みを応援したい、ということならば、積極的に寄附をされても良いと思います。