法人成りを行った場合、従業員を雇っているなら、引き続き法人で雇用するのが通常です。
働いている従業員は(おそらく事業主さんも)そのことについて意識してないと思います。
税務上は、特に年末調整については、少しだけ意識する必要がありますよ、というお話です。
退職して再就職扱い
法人成りしたとき、従業員の形式的な立場は
・個人事業時代の会社を退職
・法人成り後の法人に就職
となります。
当事者としては、引き続き同じ場所で働いているので、退職とか就職とか言われてもイメージがわかないと思いますし、それが自然です。
しかし、厳密に(法的に)言えば、法人成りは
・個人事業の廃業
・法人の新規設立
の組み合わせです。
個人事業の廃業と共に、個人事業で勤務していた従業員は、自動的に退職、という形になります。
新規に設立された法人で、個人事業で勤務していた従業員が勤務する場合は
・個人事業を廃業により退職
・法人に就職
という流れになります。
個人事業と法人は、事実上は同じ組織ですが、形式的には別の組織と考えれば、これらの取り扱いが多少理解できるのではないでしょうか。
法人として改めて必要な書類
法人として、個人事業時代の従業員に引き続き働いてもらった場合は
・従業員に扶養控除等申告書(以下「マル扶」)を改めて書いていただく
必要があります。
マル扶は、こんなヤツです。
マル扶は、扶養親族の有無に関係なく(極端にいえば独り身でも)毎年提出する必要があります。
これを提出しないと、給料から引かれる税金がエラいことになります。
マル扶は、勤務先ごとに提出しないといけません。
個人事業と法人は、厳密には別組織のため、新規設立された法人に対して、改めてマル扶を提出する必要がある、という理屈です。
(事実上一緒なんだから、改めて提出しないでもいいやん、と筆者は思っていますが・・・。)
年末調整の処理方法
年末調整は法人で行うことになりますが、その際の処理方法で気をつけることは
・個人事業時代の給料などを前職として認識する必要がある
ということです。
具体的には
・個人事業時代の給与を元に源泉徴収票を作成する。
・法人での年末調整は、上記の源泉徴収票を織り込んで年末調整を行う。
ことになります。
おわりに
理屈をわかっている人からすれば、何を当たり前のことを、と思われるような内容だったと思います。
法人なりの場合、前身の個人事業と法人は事業内容が一緒なので、それぞれの違いは明確に見出せないのが普通です。
税金の処理は、個人事業と法人とで、全く別の会社として考えるのがポイントです。
ここだけご注意いただければ、と。
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【編集後記】
今日は久しぶりに勤務時代の方との再開。楽しい時間を過ごせました。