相続税申告において、預金は相続開始時の残高を申告しますし、直前に引き出したものも申告します。
(参考)
これだけ手を尽くせば、預金については何も気にする必要がない、と思いきや、まだまだ確認しないといけないことがあるのです。
預金の確認に執着する理由
先ずはこちらをご覧ください。
(出典 国税庁ホームページ ホーム>活動報告・発表・統計>報道発表資料(プレスリリース)目次>平成27事務年度における相続税の調査の状況について)
この図表は、相続税の税務調査により申告漏れを指摘された相続財産の割合です。
現金・預貯金等が常に4割近い割合を占めていることが分かると思います。
このことから、現金・預貯金等が税務調査において重点的に調査をされ、また申告漏れを指摘される可能性が高いといえます。
税務調査で指摘を受けたくない、税務調査に来てほしくないなら、税務署が調べそうなことを先回りして確認したうえで相続税の申告を行えば良いのです。
だからこそ、相続税の申告を行うにあたっては、預金の調査に全力を尽くすのです。
預金の増減にご注目
次の表をご覧ください。どう思われますか?
随分と預金が減っていますね。5年間で2,000万円、平均すると年間400万円減少しています。
無収入で預金を取り崩して生活していらっしゃったのなら、それほど不自然ではないかも知れませんが。
何れにせよ、預金の増減が妥当なのかどうか、確認してみる必要がありそうです。
では、どうやって??
過去の収支表を作ってみる
通帳の入出金記録、相続人からの聞き取り内容を基に、過去5年間の収支表を作ってみました。
生活費は毎月の引き出し額から推測し、臨時の支出で内容の分かるものは支出として記載します。よく分からない引き出しは支出には載せないでおきます。
相続人の皆さんにも協力いただいて、被相続人の生活状況を基に収支表を完成させます。
そのうえで、収支と預金の増減を比較してみます。
実際には上の表の4年前や2年前のようにぴったり一致することは無いですが、大きく違うことも無いはずです。
ところが、3年前、1年前、最後の1年について、預金の増減と収支が合わないようです。
この合わない原因を確認する必要がありそうです。
調べても分からないものは仕方がない
収支では分からない預金の減少は、様々な原因が考えられますが
・生前贈与
・把握できていない預金口座への資金移動
・ギャンブルなど
・知人からの過去の借金
・ちょっと言えない支払い
・わからない
などなど。
名義預金など、何らかの形でお金が残っている場合や、相続人への贈与、形式的な贈与は相続税の申告の対象になる場合がありますので、慎重に確認します。
そうではなく、他人の手にわたってしまった(と思われる)支出や、調べ尽くしても分からない支出は、仕方がありません。
これらの支出は、税務署が調べても分からない可能性が高いです。
まとめ
相続税申告における預金の取扱いについて説明いたしました。
相続開始時の残高や、相続開始直前の引き出しだけでなく、過去からの残高の推移やその原因を探ることが大事になります。
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【編集後記】
本日は調べもので1日の大半を使いました。重要な内容のため見落としが無いよう慎重に行ったためか、いつになく眠いです。。