決算期変更を検討している場合に気をつけたい税務のポイント

決算期変更を検討している場合に、税金で損をしないためにも是非気をつけておきたいポイントを説明いたします。

税務はコレを検討しよう

決算期変更を検討している場合、税務で気をつけたいポイントは次の通りです。

交際費の損金算入限度額

交際費の損金算入限度額は、年800万円です。

年800万円ですので、決算期変更により事業年度が1年未満になる場合は、800万円を月割計算する必要があります。

例えば、3月決算の会社が6月決算に変更した場合、事業年度が4月1日から6月30日までとなり、交際費の損金算入限度額は200万円(=800万円×3月÷12月)となります。

この「×3月÷12月」が、月割計算です。

決算期変更を行った事業年度の期間が、時期的に交際費支出が多額になりやすい期間の場合は、損金算入限度額を超える可能性があります。

法人税の軽減税率

法人税の税率は、所得が年800万円までの部分は15%、年800万円をこえる部分は23.4%です。(税率は平成29年4月1日以降開始事業年度分)

先ほどの交際費と同じ考え方が、ここでも出てきます。

年800万円は、あくまで年間800万円です。事業年度が1年未満の場合は、月割計算を行う必要があります。

売上が季節変動しやすい業種の場合は、利益の出やすい時期で決算期変更を行うことを避けた方が良いでしょう。

消費税

消費税を支払う必要があるか否かや、簡易課税制度が使えるか否かは、2期前の売上がいくらだったのかで判定します。

例えば、平成28年3月期の売上(もう少し正確には、消費税の対象となる収入)が1千万円以下なら、平成30年3月期は消費税を納める必要がありません。

また、同様に5千万円以下なら、簡易課税制度を使うことができます。

※ 消費税を支払う必要があるか否かの判定基準は、他にもあります。2期前の売上だけでは判定できません。

※ 簡易課税制度の詳細は省略しますが、ここでは、通常より有利な税額計算ができる、という意味でお読みください。

ただし、2期前が決算期変更を行ったことなどで1年間ない場合は、年換算して判定するというルールがあります。

例えば、簡易課税制度が使えるか否か判定したいとします。

2期前が3ヶ月間で売上が2千万円の場合、年換算すると、7,999万円(=2千万円を3月で割って12月を掛ける)となり、5千万円を超えるので簡易課税制度は使えません、となります。

決算期変更を行おうとする場合は、決算期変更を行うことで、将来の消費税の状況(支払う必要の有無や簡易課税制度が使えるか否か)がどうなるか、必ず予測をするようにしましょう。

年払い経費がある場合

家賃や保険料など、年払い経費を期末近くに支払っている場合、決算期変更を行った事業年度は経費になりません。

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役員の任期

決算期変更により、役員の任期が本来の任期より短くなる可能性があります。

役員変更登記の漏れが無いように気をつける必要があります。

業績の比較が難しい

決算期変更を行った事業年度は、期間が短くなりますので、他の事業年度との業績の比較が難しくなります。

一時的なもので、気にしなければよいと言えばそれまでですが、念のため。

決算期変更の手続きについて

決算期変更の手続きは、それほど難しくありません。

次の2ステップで終了です。登記も不要です。

決算期変更の承認決議

臨時株主総会を開催し、決算期変更の承認決議を行います。

決算期は定款に定められていますので、決算期変更=定款の記載事項を変更する、ということになります。

社長や家族で100%株式を保有している株式会社神経質になる必要はありません。

事実上、書類(臨時株主総会議事録)作成だけです。

ちなみに合同会社の場合は、総社員の同意で定款変更できます。

合同会社が作成するべき書類は、総社員の同意書です。

敵対株主などがいる場合は要注意

株式会社の場合で、株主のなかに敵対株主や第三者株主が半数程度を占めているときは、以下が大事ですのでご注意ください。

定款の記載事項の変更は、株主総会の特別決議により行う必要があります。

特別決議とは、次の2つの条件を満たす決議です。

・総会に出席した株主の議決権合計 > 総議決権数(自己株式除く)の50%

・賛成株主の議決権合計 >= 総会に出席した株主の議決権合計の3分の2

したがって、敵対株主が半数近く占めている会社は、決算期変更が行えない可能性があります。

即効性のある対策はありませんが、なるべく協力してもらえるように説得するなど、粘り強い努力が必要になります。

異動届の提出

税務署へ異動届(決算期の変更)を提出します。

提出期限は、異動後速やかに、とされています。異動後何日以内に、という決まりではないのですが、できる限り早く提出したほうが良いでしょう。

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【編集後記】

本日は別テーマで記事を作成しようとしていましたが、どうにもまとまらず方針変更しました。難しいテーマなのに図解なしでごめんなさいm(._.)m

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