独立するまでの20年間、勤務した会計事務所は全部で5箇所でした。業界内での転職を4回行ったことになります。
振り返ると、殆どの転職が、転職して良かったなぁと言えるものでしたが、中には微妙なものもありました。
自分の経験を思い出しながら、後悔しないための転職について考えてみたいと思います。
目次
私の転職履歴書
私の転職履歴は、ざっと以下のような感じです。
左から転職時年齢、会計事務所の特徴、主な転職理由、転職満足度の順です。
(1) 23歳3ヶ月 町の会計事務所 初めての会計事務所
(2) 26歳6ヶ月 従業員が10人前後の中小会計事務所 日商1級を取った 70%
(3) 32歳7ヶ月 大手税理士法人 大規模税理士法人の業務を知りたかった 80%
(4) 39歳11ヶ月 資産税特化の税理士法人 東京の資産税事務所で働きたかった 60%
(5) 42歳1ヶ月 資産税特化の税理士法人 相続税の申告にもっと関わりたかった 20%
(6) 43歳2ヶ月 独立開業
どの転職も、100%満足した、100%失敗したというものはありませんが、満足度は大きく違います。
この中でも、転職満足度が最も低い(5)について、原因を振り返ります。
転職満足度が低い原因
転職満足度が低いということは、転職したことに後悔している部分もあるということです。
例えば、転職履歴(5)の事務所について転職満足度が低くなる原因を挙げると
・所長の指導方法(一方的怒鳴り散らし系)が自分に合わない
・管理職がいるのに実質的には文鎮型の組織(それなら管理職を置かなければ良いのに)。
・担当業務として相続対策の提案を行う機会が殆ど無い
(相続税の申告業務と相続対策の提案は、似て非なるものです。乱暴な言い方ですが、前者は亡くなってから、後者は生前に行う業務です。)
・転職前に情報収集のうえ大丈夫だと判断した懸念事項が、実は大丈夫ではなかった。
逆に転職満足度が高くなる要素は次の通り
・相続税の申告業務に沢山関わることができた
転職満足度が低くなった要因は、転職前に気付けなかったものでしょうか?
転職後に後悔しないために
転職満足度が低くなる原因を100%事前に察知するのは難しいです。
入社して中に入り込まないと分からないことが多いことが主因です。
それでも、少しでも転職満足度を上げるために出来ることは何でしょうか。
何を重要視するのか徹底的に突き詰める
転職履歴(3)の事務所は満足度80%です。
労働環境は厳しく終電帰りが普通で、時には徹夜をして業務をこなすこともありました。
一方で、待遇は業界内で比較的良く、1千万円プレーヤーが視界に入るほど(入っただけで実現していません・・)。また担当したお客様の規模も、東証一部上場会社、上場子会社、年商数千億円の中堅企業が殆ど。企業再編、連結納税なども主体的に関わることが出来たので、今振り返っても得難い経験をさせて頂いたと思っています。
このような職場に満足度80%と感じる人もいれば、労働環境を重要視した結果として満足度が0%になる人もいると思います。
自分にとって、何が重要なのか徹底的に突き詰めることです。
何となく、では足りません。何が重要なのか明確にしないと、転職活動をしていても中々決断できないですし、できたとしても、転職後に後悔する可能性が高まります。
自分の年齢やキャリアがどう見られるか客観的に考える
転職により目的が達成できる場合は良いのですが、そうはうまくいかない場合があります。
自分の年齢や、過去のキャリアが邪魔をすることがあるからです。
転職履歴(4)の事務所の場合です。
40歳を目前で管理職経験あり、今まで経験のない資産税業務に就きたいので転職するとします。
こちらの希望は勿論資産税業務ですが、雇用する事務所側が同じ思いとは限りません。
(4)の例では、事務所側の希望は管理職候補だったのです。
今から振り返れば、面接の際にやたらに管理職経験について質問された記憶があります。
転職の場合は、採用する事務所側にも動機、目的があります。
それを知る機会は、求職情報や面接の機会しかないでしょう。
面接を受ける際には、質問に的確に答えることや自分の思いを伝えることも大事ですが、事務所側の目的、思いにも意識を向け、自分がどう評価されているのか、どのような目的で採用しようとしているのか、といった点にも注意しましょう。
その上で、お互いの目的のミスマッチを出来る限り無くすようにします。解消できないミスマッチがある場合は、他の事務所を検討する割り切りも必要です。
妥協しない、焦らない、転職ありきで活動しない
転職活動を始めたからと言っても、必ず転職しないといけない訳ではありません。
妥協したり焦ったりしてまで転職する必要はありません。
転職履歴(5)の事務所は、他の事務所と中々相思相愛にならずに焦り始めていたところで、まぁ良いだろうと安易に判断した部分が正直あります・・・。
人材紹介会社の言いなりにならない
人材紹介会社の支援を受けながら転職活動を行うことも多いと思いますが、この紹介会社の担当者が転職を勧めても、それを転職理由にしてはいけません。
「担当者が推すのだから間違いないだろう」といった判断はNGです。
明るい挨拶ができない事務所は何かしらの問題がある可能性大
偏見かもしれませんが、明るい元気の良い挨拶ができない事務所は、何かしらの問題を抱えている可能性が高いと思います。
転職履歴では(1)と(5)の事務所が該当でした・・。
面接で訪問する際は、意識して見てみることをお勧めします。
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【編集後記】
コートを着ずに外出したら、取引先の従業員さんから「コートなしで大丈夫ですか?」と。
見ると、その従業員さんだけでなく、街行く人々も軒並みコート着用です。
そう、私は暑がりなのです。