手元現金、と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
その言葉の通り、自分の手元にある現金のことを思い浮かべるのではないでしょうか。
それでは、相続税の申告の世界でいう「手元現金」とは?
その言葉だけでは読み取れない注意事項があるのです。
手元現金は幾らでしたか?
相続税の申告を税理士に依頼すると、税理士から「お亡くなりになった方(=被相続人)の手元現金は幾らでしたか?」と聞かれます。
これは、お亡くなりになった時に、被相続人の手元に現ナマが有ったら、財産として申告しないといけないので教えてくださいね、ということです。
手元の範囲が意外に広い
ということは、手元現金=財布の中身?
正解ですが、財布の中身だけではちょっと足りません。
例えば、家の引き出しに、福沢諭吉さんが何人かいらっしゃる袋なども「手元現金」
これならまだまだ可愛い方ですが、ご自宅の金庫に眠っているお金も「手元現金」
畳の裏に大事に取ってある(隠してある??)お金も「手元現金」
あ、銀行の貸金庫の中にお金があれば、それも含まれます。
筆者は資産家でも何でもありませんが、書棚の引き出しに数万円入っています。
確か何らかのお祝い金だったと思います。このように、特に意識もせず自宅にお金が眠っている方は相当数いらっしゃるのではないでしょうか。
被相続人が管理していたお金を見つけ出すのは中々大変ですが、遺品整理の際は少し意識して確認してみましょう。
直前に引き出したお金もきちんと申告
入院されていて、いよいよ危ない、となった時、お葬式費用や入院費用の支払いに備え、銀行に引き出しに行きます。筆者も祖父の時に経験しました。
亡くなったことが銀行に知られると、預金口座が凍結されてしまい、引き出しができなくなるからです。
この引き出したお金は、死後の支払いに備えて引き出したものですから、お亡くなりになった時点ではまるまる残っている筈です。
このお金も「手元現金」として申告する必要があります。
家族がお金を管理していた場合は思わぬ揉め事の火種に
被相続人の病状によっては、ご本人では金銭の管理が出来ずに、周りの家族の方がお金の管理を行っていることも珍しくありません。
この場合、ご本人に成り代わり、ご家族の方がお金を引き出して、生活費や医療費などの支払いを行います。
ここで、とても大事なことが2つあります。
一つ目は、引き出したお金の残金は「手元現金」として忘れずに申告すること。
二つ目は、支払いの記録をきちんと残しておく、ということ。
支払いの記録をきちんと残しておくのは、何も税務署のためだけでは有りません。
他の相続人にキチンと説明できるようにしておかなければならないからです。
遺産分割の協議の場では、被相続人の通帳から引き出されたお金が話題に上るでしょう。
この時に、引き出し金について明快に説明できないと、他の相続人から、引き出し金は被相続人のためでなく自分のためで使ったのでは?とツッコミを受けてしまいます。
特に、各相続人との間が疎遠な場合に起こりがちです。
ここで躓くと、まとまる筈の分割協議がまとまらない恐れがあります。
そうならないためにも、被相続人のお金の管理を行っている場合は、堂々と説明できるような証拠(領収証など)を残しておきましょう。
管理や身の回りの世話をするだけでも大変なのに、と思われるかもしれませんが、円満な相続のためにも是非意識をして欲しいと思います。
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【編集後記】
皇居の外堀は桜が綺麗なのですが、中には葉が目立つものがちらほら。
良い季節が過ぎるのは早いです。