社長の奥様に支払った賞与 文句なく経費と言える場合とは?

「俺の嫁さん、役員じゃないから賞与を支払っても経費になるよね?」

はい!経費です!!

・・・と言いたいところですが、事はそんなに簡単じゃありません、というお話です。

役員への賞与支払いは経費にならない

役員へ賞与を支払っても、税金の計算上は経費になりません。

会社のお金から出してはいけない、という意味ではなく、会社のお金から出してもOKだけど、節税にはならないよ、ということです。

ご存知の方も多いと思いますが、基本的なことなので再確認しておきましょう。

ただし、一定の手続きを踏めば、役員への賞与を経費にすることができます。

詳細については別の機会にしたいと思いますが、一つだけ言えるのは、思い立ったときに即経費にできるのではなく、事前の準備が必要ということです。

社長の奥様は役員扱いされるかも

先ほど、社長さんが「俺の奥さん役員じゃない」とおっしゃられたのは、奥様が取締役にも監査役にもなっていない、という意味でしょう。

間違ってはいませんが、税金上の役員の定義はもう少し幅広いのです。

税金上の役員は、法律上、次のように定義づけしています。

法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものをいう。

(法人税法 第二条 第十五号)

取締役や監査役などは、当然役員ですから分かります。

ただ、「法人の経営に従事している者」のうち「政令で定めるもの」も「役員」だと言っています。

このことについて、もう少し確認してみます。

「政令で定めるもの」についても、法律上の定義づけがあります。

以下記載していますので、ご興味のあるかたは、しっかりとお読みいただくとして。

ザクッとまとめますと

社長さんが過半数の株式を持っていて、奥様も経営に従事しているなら

奥様も税金上の役員だよ。

ということが書いてあります。

一 (省略)
二 同族会社の使用人のうち、第七十一条第一項第五号イからハまで(使用人兼務役員とされない役員)の規定中「役員」とあるのを「使用人」と読み替えた場合に同号イからハまでに掲げる要件のすべてを満たしている者で、その会社の経営に従事しているもの
(法人税法施行令 第七条)

一から四(省略)

五 前各号に掲げるもののほか、同族会社の使用人のうち次に掲げる要件の全てを満たしている者

 当該会社の株主グループにつきその所有割合が最も大きいものから順次その順位を付し、その第一順位の株主グループ(同順位の株主グループが二以上ある場合には、その全ての株主グループ。イにおいて同じ。)の所有割合を算定し、又はこれに順次第二順位及び第三順位の株主グループの所有割合を加算した場合において、当該使用人が次に掲げる株主グループのいずれかに属していること。
(1) 第一順位の株主グループの所有割合が百分の五十を超える場合における当該株主グループ
(2) 第一順位及び第二順位の株主グループの所有割合を合計した場合にその所有割合がはじめて百分の五十を超えるときにおけるこれらの株主グループ
(3) 第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計した場合にその所有割合がはじめて百分の五十を超えるときにおけるこれらの株主グループ
 当該使用人の属する株主グループの当該会社に係る所有割合が百分の十を超えていること。
 当該使用人(その配偶者及びこれらの者の所有割合が百分の五十を超える場合における他の会社を含む。)の当該会社に係る所有割合が百分の五を超えていること。
(法人税法施行令 第七十一条 同第七条第二号による読み替え)

「経営に従事している」とは?

最後に「経営に従事している」とは、何をもって言うのでしょうか。

スパッと判断しにくいことなのですが、一言でまとめれば

奥様の事業への関わり方がどのような状況なのか

ということです。

例えば

・領収証の整理をしている

・会計ソフトに入力している

・来客のおもてなしをしている

業務内容でしたら、経営に従事しているとは言えないでしょう。

つまり、一般の従業員と同程度の業務内容、ということです。

例えば

・資金繰り担当である

・銀行交渉を行なっている

・人事(採用、給与の決定、昇進など)に関与している

・社長に代わって対外的な折衝をこなす

・工場の新設や事務所移転などを主導する

業務内容でしたら、経営に従事している(=税金上は役員である)とされる可能性が高いです。

問題になるのは税務調査のとき

社長の奥様に賞与を支払っている場合で、奥様が税金上の役員かどうかが問題になるのは、申告書を提出したときではありません。

(申告書に書かれている内容だけでは判断できないです)

問題になるのは、税務調査のとき。

もっと言えば、調査官が疑問を持ったときです。

奥様に賞与を支払うなら、将来あるかもしれない税務調査で、調査官が納得できるような奥様の業務内容説明が必要になります。

賞与を支払うまえに、調査官にちゃんと説明できる業務内容か、よく考えてみましょう。

一言いえるのは、社長の奥様というだけで、調査官は「役員なんじゃないの??」と疑って見る傾向がある、ということです。

まとめ

役員として登記されていない「社長の奥様」でも、税金上は「役員」扱いとされる可能性があることについて解説いたしました。

役員扱いされてしまうと、賞与を払っても経費にできません。

奥様への賞与支払いを検討されている場合は、奥様が経営に従事していないと言い切れるか、冷静に判断する必要があります。

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【編集後記】

今日も引き続き内勤で、提出期限が近い業務の詰めに励みました。

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