親子間のお金の貸し借りが贈与と言われないために行うべきこと

親子間や親族間などでお金の貸し借りを行なった場合、それなりの処理をしておかないと、貸し借りではなく贈与だとして思わぬ贈与税が掛かるかもしれません。

本当に贈与ではなく貸し借りなら、ポイントを抑えて無駄な税金が掛からないようにしましょう。

契約書を作ってちゃんと返済していれば贈与税は掛からない

お金の貸し借りを行なった場合、契約書を作って、契約書通りに返済しているなら、まず贈与税の心配は要りません。

契約書はどんな内容にすれば良いか

契約書のひな形は、ネット検索で沢山ヒットしますのでそちらを当たっていただくとして、次の項目は最低限記載しておきましょう。

・当事者の氏名

・貸し借りした日付

・貸し借りした金額

・返済方法

・利息の有無

以下、金銭消費貸借契約書の一例です。

(あくまで一例です。「借用書」「覚書」の形式でも、前述の必要項目が盛り込まれているならOKです。)

第1条 ○○○○(以下、甲という)は、□□□□(以下、乙という)に対し

平成29年7月10日に金XXXX万円を貸し渡し、乙はこれを借り受けた。

第2条 甲は乙に対し、平成29年8月末日から平成XX年XX月末日まで

毎月末日限り、月XX万円を返済する。

第3条 利息は無利息とする。

※利息ありにするなら「利息は年X%の年365日日割り計算とし、毎月末日限り、経過分を元金と共に支払う。」

第4条 乙が前2条の支払いを怠ったときは、乙は当然に期限の利益を失い、残額を一括して甲へ弁済するものとする。

以上の通り契約が成立したので、本契約書を2通作成し、甲乙それぞれが保有するものとする。

甲 住所 ・・・・・・・・・・

氏名 ○○○○

乙 住所 ・・・・・・・・・・

氏名 □□□□

返済は振込がベスト

返済は振込がベストです。

現金のやり取りは、法律で禁止されていませんが、返済の跡を残すという意味で物足りません。毎回毎回領収証を作るのも手間ですし。

振込なら貸し手、借り手共に取引履歴が残りますので、振込がベスト、ということになります。

毎月の返済が面倒であれば、銀行の定額振込サービスなどを利用すると良いでしょう。

利息は無利息でも問題ない場合が多いが・・・

利息は無利息でも問題ない(=贈与税が掛からない)場合が多いですが、貸し借りの金額が大きい場合は要注意です。

金利が無利息=利益を得ている=贈与税

厳密には、金融機関から借りればそれなりの利息を支払う必要があるところ、心優しい身内から借りたことで、利息の支払いを免れたという利益を得ています

この利益に対して贈与税が掛かるのです。

結果的に贈与税不要の場合が多いが、貸し借り金額次第では・・

ただし、贈与税はご存知の通り年間110万円の非課税枠があります。

金利の取り決めがない場合の利率は、民法上の利率(現在は年5%。約3年以内に年3%に改正)で計算します。

仮に借り入れ金額が1千万円なら、利息は年50万円です。

したがって、借り入れ金額が2千2百万円以下なら、利益が110万円以下なので、結果的に贈与税が掛からない、という寸法です。

また、次の相続税法基本通達(=国税庁による税務職員向けの指示)があります。(黄マーカーは筆者による)

(無利息の金銭貸与等)

9-10 夫と妻、親と子、祖父母と孫等特殊の関係がある者相互間で、無利子の金銭の貸与等があった場合には、それが事実上贈与であるのにかかわらず貸与の形式をとったものであるかどうかについて念査を要するのであるが、これらの特殊関係のある者間において、無償又は無利子で土地、家屋、金銭等の貸与があった場合には、法第9条に規定する利益を受けた場合に該当するものとして取り扱うものとする。ただし、その利益を受ける金額が少額である場合又は課税上弊害がないと認められる場合には、強いてこの取扱いをしなくても妨げないものとする。

長い文章ですが、ザクッとまとめますと

親子間や親族間の無利息貸し借りによる利益は、多少のことなら贈与扱いにしないよ

ということです。

「利益を受ける金額」がどの程度なのかの定めはありませんが、親族間による数千万円の貸し借りなら、無利息による利益は贈与税だ!と言われる心配はないのでしょうか。

参考までに、過去の裁決事例で、親子間で億円単位の無利息貸し借りについて、利息相当額が贈与税の対象になる、とされた事例があります。

資金の用途は事業用資金だったそうです。

5年分の利息に対する贈与税は何と、約2,700万円!!

・・・・恐ろしいですね。

少なくとも、億円単位の貸し借りで無利息は絶対にダメ!と言えますね。

金利を敢えて定めておくのも手

金利の取り決めがない場合の利率は、民法上の利率が適用されてしまいますので、敢えて市中金利を基にした金利を定めておくのも手です。

無利息=借りた金額に贈与税 ではない!

よく勘違いされるところですが、無利息だからといって、借りた金額に対して贈与税は掛かりません

借りた金額に贈与税が掛かるのは、借りた金額を返さない(=貰ったのと一緒とされる)場合です。

無利息&他に贈与を予定している場合は非課税枠オーバーに注意

無利息の場合で、別件で贈与される予定があるときは、非課税枠オーバーに要注意です。

無利息による経済的メリットが100万円とされた場合、別件の贈与は10万円以内に抑えないと、110万円の非課税枠を超え、贈与税が発生することになります。

また、相続時精算課税制度を利用している方で既に非課税枠2,500万円を使い切っている方も要注意です。

まとめ

親子間のお金の貸し借りが贈与と言われないためのポイントとして、次の項目を説明いたしました。

・契約書を作る。

・返済を契約書通りに、銀行振込で行う。

・金利は無金利でも構わないが、貸し借り金額が大きい場合は要検討。

ポイントを抑えて、無用な税金を産まないようにしましょう。

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【編集後記】

amazonのPrimeDayセールが始まり、どれどれと見ていたところ、ついつい安さに惹かれてワインやら炭酸水やら購入してしまいました(^_^;)

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