手元にある申告書に、”税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面”は付いていますか?
添付書面?なにそれ?という方で、税務調査がどうにも苦手という方は、この後の本文をぜひお読み下さい。
目次
税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面とは
税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面とは
・税理士(または税理士法人)が作成する書類
のことです。
正式名称が長いためか「書面添付」という言い方が出回っています。
(あくまで税理士業界内で)
通常は複数ページからなります。
1ページ目はこのような体裁です。
書面添付は義務ではない
お手元に、税理士が作成した税金の申告書がある場合は、試しに一式をパラパラとやってみて下さい。そうすると
・書面添付がされている(付いている)
・書面添付がされていない(付いていない)
のいずれも場合もあると思います。
書面添付の位置づけは、税理士が任意で作成するもの、となっています。
税理士側の視点ですと、税理士の権利との位置づけも有るようですので、添付書面の作成を希望しても、税理士の考え方によっては作成してもらえない可能性があります。
書面添付は任意ですから、法的な作成義務がありません。
仮に書面添付がされていない場合でも、不備ではありません。
顧問税理士を責めるのはナシでお願いしますm(._.)m
時々、そのような事情をご存知ない方(銀行員さんとか。。。)から
「なんで書面添付がされていないのですか?」
と(さも間違いであるかのように)指摘されることも有りますが、このような事情なので宜しくです。
書面添付には何が書いてあるのか
書面添付には、一体何が書いてあるのでしょうか。
ザクッと表現しますと、申告書について
・どのように判断して作成したのか
・どのような根拠資料に基づいているものか
が書いてあります。
税務署に提出する申告書は、数字と多少の単語だけで出来ています。
これだけでは、その背景にある事実までは中々わからないことが多いものです。
書面添付は、このような申告書の弱点を積極的に補う位置づけのものです。
つまり
・数字だけで出来ている申告書
に
・事実関係が説明された書面添付
を補うことで、申告書の背景にある事実や判断を積極的に説明しよう、というものです。(税務調査はご遠慮くださいね、という思いも込めて。。。)
書面添付を行うメリット
税務調査が省略になる(かもしれない)
税務署は、チェックした申告書に疑問点があるときは、税務調査によって疑問点の解消を図ります。
その疑問点が簡単な内容ですと、電話のやり取りだけで済む場合もあります。
そうでない場合は、税務調査官が実際に会社や自宅へ訪問して、事実関係の確認(=実地調査)を行うことになります。
ところが、書面添付がある申告書が提出された場合
・税務署は実地調査の前に税理士の意見を聞かないといけない
ことになっています。
このことを「意見聴取(いけんちょうしゅ)」と言います。
意見聴取を省略して実地調査を行うことは出来ません。
意見聴取により、税務署側の疑問点が解消されれば、実地調査はありません。
書面添付を行なっていると税務調査がない、と言われるのは、このような事情からです。
ただし、必ず税務調査がなくなる訳ではありません。
税務署が何らかの証拠を握っている場合は、書面添付を行なっていても実地調査を免れることは出来ないでしょう。
業務範囲が明確になる
書面添付には、税理士がどのような書類を見て、どのような判断をしたかが書いてあります。
税理士が行った業務範囲が明確になりますので、税理士とお客様との間で、言った言わない、資料を渡した渡さない、といったことが明確になります。
書面添付を行うデメリット
税理士へ支払う報酬が増えるかも
書類が1つ増えますので、税理士にとっては作成の手間がかかります。
そのため、税理士事務所によっては添付書類の作成報酬を別途請求する場合もあるようです。
事実に反することは書けない
書面添付は、事実のみ書きます。
事実に反することは書けません。
こういう書き方をすると、デメリットと取られるかもしれません。
でも、よくよく考えてみると、書面添付に限らず、申告書だって事実と違うことを書いてはいけないはずです。
事実に反することは書けないというのは、デメリットではなく当たり前のことですし、申告書においても同じことです。
おわりに
書面添付は、手間やコストがかかりますが、それに見合うメリットもあります。メリットが見込めそうな場合は、書面添付を税理士に相談してみると良いと思います。
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【編集後記】
暑い日が続いているためか、家で飲むビールが美味しく感じられるようになってきました。その代わり、ワインの消費量が減ってきたような・・。