相続税、贈与税において、路線価がない地域で農地の評価を行う場合は、固定資産税評価額に倍率を乗じて行います。
倍率は、国税庁ホームページで公表されている「評価倍率表」で検索できます。
ところで、この「評価倍率表」の記載のうち、何となく見過ごしている文言はありませんか?
「農業振興地域内の農用地区域」という文言を。
今日は、農業振興地域内の農用地区域(以下、農振農用地とします)のお話です。
農振農用地とは?
詳しくはWikipediaを引いて頂ければ良いと思いますが、ざっくりと表現すると、農業以外のこと、例えば家を建てるなどしないで、農業に専念してくれ、と指定されている地域を指します。
現在の土地の価値を測る尺度は、建物を建ててナンボですので、農業にしか使えない土地の価値は、推して知るべしです。
農振農用地は、評価倍率表でどのように記載されているか
農振農用地の記載は、次の図(評価倍率表)の赤囲みのように記載されています。
表を見ると、田の倍率が農振農用地が13倍なのに対し、農振農用地に該当しない土地は17倍とされています。
農振農用地の方が、農業に専念するなどして使途が限られるため、倍率(=評価額)が低い目となっています。
倍率が低いということは、評価も低くなるということで、農振農用地が評価上優遇(低い目に評価)されていることが分かります。
農振農用地の調査方法
農振農用地は、果たしてどのように把握するのでしょうか。
残念ながら、住宅地図やブルーマップには記載がありません。市町村役場のホームページを調べても、農振農用地の記載は殆どないのが実情ではないでしょうか。
実は、把握する方法は意外に簡単で、調べたい市町村役場に電話して用向きを伝え、土地の地番を伝えると、その土地が農振農用地に該当するか否か教えてもらえます。
市町村によっては、メールによる応答も対応していますので、調べたい土地をリスト化してメール添付すると効率よく確認できます。
積極的に確認しよう
農振農用地に該当するだけで、評価を3割以上さげることができます。
かける労力の割に効果が高いので、農地の評価を行う際には、まず農振農用地に該当するかしないか、市町村役場に確認することをお勧めします。